ボクはずっと誰かに見られている……。


気のせいなんかでは無い。



かなり前からのコトだ。



ボクは確実にナニモノかの視線を、ずっと感じている…………。



朝、目覚めると…ボクはすでにナニモノかの視線を感じていた。


仕事に行く途中も…仕事中も……
帰りにスーパーで買い物をしても……

みんなに“中の下”と言われる彼女とデートをしていても……

ずっと誰かに“見つめられて”いた……。


家の中でも、外でも…

常に…

誰かが…


『眠りにつく』…その瞬間まで…
ナニモノかの視線は毎日続く。



ただ……いつも、布団に入り、電気を消すと…


視線は消える。



ボクは…この生活が耐えられなかった……。

精神的にも、少しづつおかしくなってきていた……。



そんなある日、


いつもの様に会社から帰り、部屋で夜ごはんの“煮こごり”を食べていた……。

誰かの視線を感じながら…。

なんの気なしに、ふっと後ろを振り返ると…

ソコに黄色い影があった。
そして部屋の扉の隙間から…影が、ずっとボクを見ていた。

「うわぁ!!!!」
ボクは叫んだ。

するとその影は…スーッと消えた。


誰か…いる!!!


そして、コイツが…ボクを苦しめている……。

ボクは恐怖で全身が震えた。
だが、このナニモノかを捕まえなければ、いつまで経っても“誰かに見られている苦しみ”は消えない……。


ボクは勇気を振り絞りゴルフクラブを手に取り、部屋中を見回した。


ガサッ………。



ベッドの下で影が動いた。

「ソコかぁ!!!コラァ!!!」
ボクは自分の中の恐怖を隠すかの様に、精一杯の大声を出し、そいつのタテ髪を掴み、引きずり出した。


「てめぇか!!コラァ!!
人の家に入って何してんだ!?」
ヤツは何も答えなかった……。

「人の生活ずっと着け回しやがって!??何なんだ?てめぇ?!」
それでも何も答えない……。

ボクは持っていたゴルフクラブでヤツの首を締め上げた。

『うぐっ!…………ス…スイマセン』
蚊の鳴く様な声で、ヤツは言った。

「あぁ゛っ!?聞こえねぇよ!!
だいたい、てめぇは誰なんだよ!??誰だ???」


ヤツは…しばらく沈黙し……そして答えた。




『おはようから、おやすみまで暮らしを見つめる…ライオンです。』
と。