ある日。


その日は、あまりにも穏やかな目覚めだった…………。

静かに眼を開けると…冬のやわらかい日射しが部屋の隅にある暖炉を照らしている…。

鳥のさえずりさえ聞こえない静けさ………。

どれだけ、この朝の気持ち良さに浸っていただろう……。
いや、それは0.2秒もなかった…。

ものスゴい強大な悪寒が…わしの全身を襲った。

冬の寒さで痛む腰を押さえ、焦ってテレビの電源をつける。

テレビには、おでこにホクロのある中年男性と、かわいらしい女性アナウンサーが朝の挨拶をしている。
「おはようございます!12月26日、午前7時を回りました。まずはめざましトピックスから………」

しまったっ!!!


朝だ!!!!!!!!


急いで枕もとにある携帯をつかむと……
『着信あり67件』
すべてトナカイからだ。


わかっていた……。
今わしがどうゆう状況にいるのか…十分過ぎる程わかっていた……。

とりあえず、わしはタバコに火をつけた。

ゆっくりと揺れる煙を見ながら…イロイロ考える…。
「この後どうすれば…」


無い。この最悪の状況を救う手段なんて、一つも無い。
…だって、全世界の靴下が空っぽなんだから…………。

とりあえずトナカイに電話をした。

…ブチ切れていた。
「もぅ怒りで、全身が赤くなったわ!死ね!!絶対今年中に死ね!!!このクソじじぃ!!!」

長年のパートナーが初めて浴びせる罵声。

心が痛む……。

“ドン、ドンドンドン!”
誰かがやって来た。

“ドン、ドンドンドン!”
「サンタクさぁ~ん!通路に置いてる荷物と、あと、あの変なソリみたいなの、どかしてぇ~!!
アパートの人みんな迷惑してるからぁ!!!」

大屋だ。

『すんませんが、あと1年そのまま置かせてもらえませんかね?』と、わしは言った。

「バカ言っちゃ困るよ!!早くどかせて!!!!!!」











「おはようございます!めざましトピックス……まずは“ゴミ屋敷の老人、ついに逮捕”です………。」