あれは何年前のことだろうか…。
まだ“青春”が抜けきらない、そんな頃だったと思う…。
社会人1年目、まだ毎日がバタバタしていた…ある平日。
ボクは“早乙女”に飲みの誘いをうけた。
早乙女は酒を飲めないのに…
何かあったのかなぁ……。
ボクはその日、やらなければならなかった山積みの仕事をほったらかしにして、待ち合わせの居酒屋に行った…。
“早乙女”は幼稚園の頃からの幼なじみで家も隣どうし。
高校までずっと同じ学校だったし、何故か背格好も似ていた。
なので学生時代はよく間違えられていた。
しかし、この二人の唯一、異なるところは、
勉強しかしていなかったボク。成績は常に学年で一番だった…。
勉強はまるでダメだったが早乙女は小学生の頃からずっとリトルリーグでエースの四番だった。
高校を卒業して、一流の大学に行ったボク。
高校を卒業して、一流の球団でレギュラーの早乙女。
居酒屋に着くとソコに早乙女はいた…。
カウンターに1人座ってる早乙女の前には、とっくりが3本ほど倒れている………。
そしてカウンターには、こぼれたお酒………と食べかけの焼き鳥。
…………!?
酒の飲めない早乙女が!?
「早乙女!…どうした!?ムシャムシャ…」ボクは問いただす。
早乙女は泣いていた……。
『オレ………もうダメだ…!!』
早乙女の眼から涙が溢れる。
『この腕!!この腕が言うことを…きいてくれない!!』
そう言ってサウスポーの左肘をカウンターに叩きつける。
『もう酒を飲むグラスすら…まともに掴めない!!ちくしょう!箸だってまともに握れない!!オレの身体はもうダメなのか!?』
幼なじみの早乙女が初めて口にした弱音……。
どれだけ辛いのかは、ボクにはすぐわかった。
ボクは厳しいかもしれないが、早乙女に言った……。
『まず……野球やめたら?…ムシャムシャ…』
簡単に聞こえるかもしれない。
でも早乙女は今、本当に苦しんでいる…。
弱音をボクに見せるというコトは、きっと早乙女は自分のなかでキッカケを見つけているんじゃないか……と。
すると早乙女は言った…。
「オレから野球を取ったら何も残らない!!」
と。
ボクは言った。
『……わかったじゃあ、そのグローブだけでも取ったら?…ムシャムシャ…』
と。
すると早乙女は言った。
「そうだな…グローブは取るよ」と。
そう言って早乙女は右手に付けていたグローブを外した。
すると早乙女は、いとも簡単にグラスを掴んだ。
そしてお酒を飲みはじめた。
ボクは言った。
『もう……野球やめたら?…ムシャムシャ…』
と。
すると早乙女は言った。
「オレから野球を取ったら何も残らない!!」
と。
ボクは言った。
『じゃあ、左手にずっと握ってるボール、置きなよ。』
と。
早乙女はボールを置いた。
すると早乙女はいとも簡単に箸を握った。
そしてポテトサラダを食べながら言った。
「オレはもう野球やめなきゃいけないのかよ!!くそっ!!」
と。
ボクは言った。
『今日は試合終わってんだから、もぅ店の中でバット振るのやめろよ!』
と。
『ココは居酒屋だぞ。もう野球やめろよ!!…ムシャムシャ…』
と。
すると早乙女は言った。
「オレから野球を取ったら何も残らない!」
ボクは無理矢理、早乙女のユニフォームとスパイクを脱がせ、カウンターに置いてあった、滑り止めの粉のパックとバットを投げ捨てた。
すると早乙女は言った。
「テメェこそさっきっから、何食ってんだよ!!」
と。
ボクは言った。
『六法全書』
と。
早乙女は言った。
「そんなモン食ってんじゃねぇよ!!」
と。
ボクは言った。
『ボクから勉強を取ったら何も残らない』
と。
まだ“青春”が抜けきらない、そんな頃だったと思う…。
社会人1年目、まだ毎日がバタバタしていた…ある平日。
ボクは“早乙女”に飲みの誘いをうけた。
早乙女は酒を飲めないのに…
何かあったのかなぁ……。
ボクはその日、やらなければならなかった山積みの仕事をほったらかしにして、待ち合わせの居酒屋に行った…。
“早乙女”は幼稚園の頃からの幼なじみで家も隣どうし。
高校までずっと同じ学校だったし、何故か背格好も似ていた。
なので学生時代はよく間違えられていた。
しかし、この二人の唯一、異なるところは、
勉強しかしていなかったボク。成績は常に学年で一番だった…。
勉強はまるでダメだったが早乙女は小学生の頃からずっとリトルリーグでエースの四番だった。
高校を卒業して、一流の大学に行ったボク。
高校を卒業して、一流の球団でレギュラーの早乙女。
居酒屋に着くとソコに早乙女はいた…。
カウンターに1人座ってる早乙女の前には、とっくりが3本ほど倒れている………。
そしてカウンターには、こぼれたお酒………と食べかけの焼き鳥。
…………!?
酒の飲めない早乙女が!?
「早乙女!…どうした!?ムシャムシャ…」ボクは問いただす。
早乙女は泣いていた……。
『オレ………もうダメだ…!!』
早乙女の眼から涙が溢れる。
『この腕!!この腕が言うことを…きいてくれない!!』
そう言ってサウスポーの左肘をカウンターに叩きつける。
『もう酒を飲むグラスすら…まともに掴めない!!ちくしょう!箸だってまともに握れない!!オレの身体はもうダメなのか!?』
幼なじみの早乙女が初めて口にした弱音……。
どれだけ辛いのかは、ボクにはすぐわかった。
ボクは厳しいかもしれないが、早乙女に言った……。
『まず……野球やめたら?…ムシャムシャ…』
簡単に聞こえるかもしれない。
でも早乙女は今、本当に苦しんでいる…。
弱音をボクに見せるというコトは、きっと早乙女は自分のなかでキッカケを見つけているんじゃないか……と。
すると早乙女は言った…。
「オレから野球を取ったら何も残らない!!」
と。
ボクは言った。
『……わかったじゃあ、そのグローブだけでも取ったら?…ムシャムシャ…』
と。
すると早乙女は言った。
「そうだな…グローブは取るよ」と。
そう言って早乙女は右手に付けていたグローブを外した。
すると早乙女は、いとも簡単にグラスを掴んだ。
そしてお酒を飲みはじめた。
ボクは言った。
『もう……野球やめたら?…ムシャムシャ…』
と。
すると早乙女は言った。
「オレから野球を取ったら何も残らない!!」
と。
ボクは言った。
『じゃあ、左手にずっと握ってるボール、置きなよ。』
と。
早乙女はボールを置いた。
すると早乙女はいとも簡単に箸を握った。
そしてポテトサラダを食べながら言った。
「オレはもう野球やめなきゃいけないのかよ!!くそっ!!」
と。
ボクは言った。
『今日は試合終わってんだから、もぅ店の中でバット振るのやめろよ!』
と。
『ココは居酒屋だぞ。もう野球やめろよ!!…ムシャムシャ…』
と。
すると早乙女は言った。
「オレから野球を取ったら何も残らない!」
ボクは無理矢理、早乙女のユニフォームとスパイクを脱がせ、カウンターに置いてあった、滑り止めの粉のパックとバットを投げ捨てた。
すると早乙女は言った。
「テメェこそさっきっから、何食ってんだよ!!」
と。
ボクは言った。
『六法全書』
と。
早乙女は言った。
「そんなモン食ってんじゃねぇよ!!」
と。
ボクは言った。
『ボクから勉強を取ったら何も残らない』
と。