いったい何年前になるだろう……。
ボクの遠い記憶だ……。

最初はホントに軽い気持ちだった…。
アレは確か…小さな消しゴムだったと思う。
ボクは周りを気にしながら、誰にも見つからない様、そっとポケットにしまった……。

別に欲しかった訳じゃなく…「何かの役にたつかな…?」
その程度だった…。

罪の意識なんてなかった…。
このつまらない現実にスリルを求めていたのかもしれない…。

あくる日もあくる日も…一つ…また一つ…とボクはスリルを手に入れた。
「もはやボクのポケットに入らないモノは無い……。」
ボクは過信していた。

消しゴム、アメ、小さなライトやこんにゃく……、挙げ句にはドアだって…。必死に…生きる為に…。

限度を知らないボクは…そして今日…遂には……スリルを求め、人知れず『銃』すらもポケットにしまい込んだ………………。




“トントンっ”

肩を叩かれたボクは凍りついた…。
ただでさえ、少し青白いボクの顔が更に青くなる………。

夕焼けにレンズが光るメガネの奥の鋭い眼差し…………………。

「しまった!!!」
そう思った時には、もう後の祭……。時間を戻すことなんてできない……。

そしてボクは、ただ……『眼鏡を光らせた彼』の言うがままになった……。




『また、ジャイアンにイジメられたよ!!』