こんにちは。
今回リメイクショーでデザインを担当させて頂く一瀬美月です。

 このショーのテーマは「愛着」という事で、私自身の愛着が薄れてきて誰かに譲ろうと思っていた洋服達にもう一度生まれ変わってもらう事にしました。それから、私がいつも洋服をデザインする際に必ず意識している「変化を恐れない少女のための洋服」というコンセプトを「愛着」というテーマに融合させてみようと思いました。

 私たち人間は、生きている限り必ず変化・成長して行きます。それは肉体的であったり、精神的であったり、またその両方であったりすると思いますが、少女であり続けようと思う心も大人の女性へとシフトしようと思う心も自分で選び取る事が出来るものではないでしょうか。或いはその二つの間で揺れ動いているかもしれません。社会的には20歳で成人になりますが、果たして私たちはいつから自分が大人の女性として生きる事を決心するのでしょうか。

 こういった気持ちの変化に戸惑う少女が大人へと成長する様子を、私は1着目のリメイクで表現する事にしました。1着目はドレスを正面から大胆に切り込み、シュルレアリスム絵画に見られる"窓"を表してみました。シュルレアリスム絵画での"窓"とは、自己の内部と外部とを隔て、また結ぶ役割を持っています。少女が自己の内部に閉じこもるのを止め窓の外へと目を向けた時、何が生まれるのでしょうか?正解はショーを見て頂ければ必ずわかる様になっています。

 2着目は祖母から貰った古着のスカートをリメイクしました。私自身、昭和初期の洋服の持つストイックでロマンチックな雰囲気が大好きなので、よく祖母から着物や洋服を譲ってもらうのですが、今回はその中からなかなか着る機会の無かった黒いスカートを大学生らしく日常に着こなせる様にデザインしました。

 どちらも「洋服と共に成長し、生きて行く」という「愛着」を表したつもりです。ぜひ会場で、デザインだけでなく洋服のもつ意味や着る人自身の人生を想像しながら見て頂けると嬉しいです。長くなりましたが最後まで読んで頂きありがとうございました。