毎度の如くタイトルと内容がつながりませんが、今回は 1971 年のヒット曲、「また逢う日まで」から取っております。
「♪ ふたりでドアをしめて ふたりで名前消して その時心は何かを 話すだろう～ ♪」
さてと本題、当ブログの記事アクセス上位を占める、韓国ドラマの自動車事情。
これらの記事に話題を提供してくれた、「日産/インフィニティ」の韓国撤退が決定しました。
理由は色々と挙げられていますが、2016 年のフォード日本撤退と似ている気がします。
要は、自社製品のシェア拡大が今後見込めず、かつ時機的に撤退の口実がある。
日産と関係の深いルノーも、ルノーサムスンとの関係を見直す方向といわれています。
「日産/インフィニティ」は 8 本のドラマを取りあげ、第 2 位だったのになあ。
そういえば、かつて「インフィニティ」車が 4 度も登場した、ホン姉妹脚本ドラマに変化の予兆がありました。
「花遊記（ふぁゆぎ）」（ 2017-18 ｔｖN ）は「メルセデス・ベンツ」。
「ホテルデルーナ」 （ 2019 tvN ）は「ジャガー＋ランドローバー」。
「インフィニティ」の出番がありませんでした。
ホン姉妹脚本ドラマに登場する車については、こちらで詳しく。
さてと、自分にとって最後となるだろう「日産/インフィニティ」登場ドラマがこちら。
「秘密の女たち」（ 2018 SBS ）。
過熱する進学競争の果てに起きた、ある事件をきっかけに… という、何だか「 SKY キャッスル」（ 2018-19 JTBC ）を連想してしまいそうなお話。
ヒロインの精神科医、キム・ユンジン（ソン・ユナ）の車が、「インフィニティ・Q50 」。
日本仕様は「日産・スカイライン V37 」。
セドリックやグロリア、ブルーバード、シルビアなど、古参車種が軒並み消える変遷の多い日産にあって、今も現役を続けるスカイライン。
暗い画面ですが、過去を隠したいソン・ジエ（オ・ヨナ）が乗る、「インフィニティ・Q30 」。
さすがにちょっと分かりにくいので、別のドラマに登場した「 Q30 」。
「この恋は初めてだから （原題；この人生は初めてだから）」（ 2017 ｔｖN ）。
ヒロインの友人、ウ・スジ（イ・ソム）の愛車。
日本での販売が無く、あまり馴染みがありませんが、「 Q30 」は「メルセデス・ベンツ A クラス」をベースとした変わり種。
メルセデス側のモデルテェンジと、「日産/インフィニティ」の欧州市場見直しの影響を受け、販売期間が短くかなりレア。
ドラマに輸入車が登場する場合、主力車種限定の事が多いのですが、「日産/インフィニティ」はバリエーションに富んでいました。
「コーヒープリンス１号店」（ 2007 MBC )。
チェ・ハンソン（イ・ソンギュン）が乗る、「日産・キューブ」。
主要登場人物が小型車なのは、かなり珍しい。
更に、「インフィニティ」販売が先行し、「日産」ブランド車は販売前の時期だったため、よく見ると右ハンドル仕様。
お洒落で可愛いと注目を集め、当時、日本から個人輸入した人が結構いたとか。
「僕の彼女は九尾狐 （クミホ）」（ 2010 SBS ）。
ウン・ヘイン（パク・スジン）の愛車が、「インフィニティ・G37・コンバーチブル」。
相当にインパクトのある車種選択です。
そういえばこのドラマの 5 年後、パク・スジンはペ・ヨンジュンと結婚。
まあそれは、あまり関係ないか。
「別れが去った」（ 2018 MBC ）。
ヒロインの義母、ソ・ヨンヒ（チェ・シラ）が強引に借り出す、「日産・フェアレディ 370 Z 」。
改めて書き出すと、「日産/インフィニティ」がドラマ協賛をしていたのは、やはり 2018 年頃までだったように見受けられます。
こうした個性的な車両陣が見られなくなるのは、残念な限りです。
… ここまで書いたところで、別のドラマを観始めると …
序盤、「日産・フェアレディ 370 Z 」がどどーんと登場。
トラウマの塊のようなファッションデザイナ、ソ・イド（シン・ソンロク）の車。
「パヒューム」（ 2019 KBS2 ）というドラマ。放送開始が 2019 年 6 月 3 日。
2018 年にモデルチェンジした最新型、「日産・アルティマ」が登場します。
複数の人が乗る社有車という設定で、露出度を高める取り計らい。
ハン・ジナ理事（チャ・イェリョン）も「アルティマ」かと思ったら、何か違う。
特徴的なサイドラインから、「日産・リーフ」と分かりました。
EV （電気自動車）の登場は相当に珍しいと思ったら、充電シーンまである厚遇ぶり。
ヒロインの夫、キム・テジュン（チョ・ハンチョル）が乗るスポーツセダン、「日産・マキシマ」。
車越しの密談は、左「日産・パスファインダー」、右「日産・ムラーノ」。
わざわざ背景に国会議事堂を写し込むのは、何かの暗喩？
売れっ子タレント、ユン・ミンソク（キム・ミンギュ）の車、「ムラーノ」とはちょっと違う…
チェックしたところ、「日産・エクストレイル」と分かりました。
このドラマには、販売チャンネルの異なる「インフィニティ」車は登場しませんが、「日産」ブランド車が総登場。
しかも、2018 年「秘密の女たち」の「 INFINITI 」ロゴを隠す脇役扱いの翌年に、「 NISSAN 」ロゴを掲げた主役級に昇格。
初放送が 2019 年 6 月 3 日から 7 月 23 日、撤退正式発表の 1 年前。
時期的におそらくこれが、「日産/インフィニティ」が登場する最後のドラマかと思われます。
… と、ここまで書いたところで、別のドラマを観始めると再び …
悪徳弁護士イ・テギョン（チェ・ジニョク）が、「インフィニティ・Q50 」で登場。
「ジャスティス」（ 2019 KBS2 ）というドラマ。
初放送が 2019 年 7 月 17 日から 9 月 5 日、「パフューム」と入れ替わる時期でした。
テギョンの元恋人、ソ・ヨナ検事（ナナ）の愛車が「インフィニティ・QX30 」
「 Q30 」に大型タイヤなどを装着したクロスオーバーモデル。
大型車、「インフィニティ・Q70」に乗る大物を尾行します。
日本仕様は「日産・フーガ」。
セドリック/グロリアの実質上の後継車、個人的には高級ハイヤーのイメージです。
テギョンはドラマ途中で、「インフィニティ・Q60」に乗り換えます。
理由は特にありませんが、「悪徳弁護士」から「悪徳」が取れた象徴のようです。
「 Q60 」は日本未発売。
スカイラインクーペの後継として待望する声がありますが、実現には至らず。
高級パーソナルカーの需要って、そんなにも少ないのか…
インパルが北米仕様車を独自輸入していますが、かなりのお値段。
2019 年 7 月、撤退発表の 1 年前には、「日産/インフィニティ」はこうした広告戦略を繰り広げていました。
まだ再起を目指していたと見るか、或いは最後のひと花を咲かせようとしたのか。
いずれにせよ、このエンドクレジットがもう見られないのかと思うと、ある種の時代の節目を感じてしまうのでした。
「主君の太陽」（ 2013 SBS ）のエンド・クレジット。
「主君の太陽」、チュ・ジュンウォン = チュグン（ソ・ジソブ）の、「インフィニティ・M 30ｄ 」。
「♪ また逢う日まで 逢える時まで 別れのそのわけは 話たくない…
ふたりでドアをしめて ふたりで名前消して その時心は何かを 話すだろう～ ♪」
まだ 20 世紀だった頃、情報通信や移動/輸送手段の発達により「世界が狭くなる」－多様性に向かうと素朴に信じられていました。
けれども最近は、反対の意味での「世界が狭くなる」－面倒な多様性よりも単純明快さへと「世界が収縮」しているようで、何だか居心地がよくありません。
まあ所詮、夢見る 20 世紀型旧世代の繰り言に過ぎないのですが。
