横浜市は人口370万の大きな都市ですが、
この街に暮らす人たちには、いくつか面白い特徴があるといわれます。
まず、横浜市民は出身地もしくは居住地を訊ねられた時、殆どの場合「横浜」または「横浜市」と答え、「神奈川」と答える事はまずありません。
他地域の方は大抵、都道府県単位で答えます。(ただ、神戸市民も同じ傾向にあるとの噂はよく聞きます)
ちなみに、神奈川県の地方銀行は「横浜銀行」で、「神奈川銀行」はいわゆる第二地銀、旧名を「神奈川相互銀行」という、よりローカルな銀行です。
また、「横浜駅」は、6社が乗り入れ一日40万人が利用する巨大な駅ですが、「神奈川駅」は、京浜急行の各停しか止まらない、利用者が一日5千人未満の小さな駅です。
他にも横浜と神奈川を巡る様々な駆け引きがあり、横浜市民に聞けば色々教えてくれると思います。
次に、ほとんどの人が「横浜市歌」を歌う事が出来ます。
歌詞の全ては覚えていなくとも、少なくとも出だしの「わが日の本は島国よ♪」くらいは斉唱する事が出来ます。
1909年(明治42年)7月1日に行われた、横浜港の開港50周年記念祝祭にて披露されて以来、市民に歌い継がれています。 作詞は森林太郎(森鴎外)、作曲は、当時東京音楽学校(現、東京藝術大学)助教授だった南能衛(よしえ)氏です。現在も市立の小学校では、校歌とともに歌唱指導されています。開港記念日(6月2日)や卒業式、市大会などの行事で、演奏・斉唱されています。
そして(ようやく本題?)崎陽軒の「シウマイ」を「しゅうまい」とか「シューマイ」といわれるとつい、
崎陽軒はあくまでも「シウマイ」です。
![イメージ 1](https://stat.ameba.jp/user_images/20191111/20/ccobouex/49/f7/j/o0520039014637508304.jpg?caw=800)
と言わずにはいられません。
でも、それはまだ序の口。
1954(昭和29)年に登場し、今や横浜市民のソウルフードとまでいわれる、生産量日本一の駅弁、「崎陽軒のシウマイ弁当」の食べ方を、
決して、横浜市民に聞いてはなりません。
![イメージ 2](https://stat.ameba.jp/user_images/20191111/20/ccobouex/01/f4/j/o0520039014637508310.jpg?caw=800)
「シウマイ弁当」は、八つに区分けされた俵型ご飯(小梅、黒胡麻載せ)に、シウマイ×5、鮪の照り焼、かまぼこ、鶏唐揚げ、玉子焼き、筍煮、あんず、切り昆布と千切り生姜という構成なのですが、
![イメージ 7](https://stat.ameba.jp/user_images/20191111/20/ccobouex/c7/11/j/o0520039114637508312.jpg?caw=800)
日頃は横浜市歌を仲良く斉唱する横浜市民も、シウマイ弁当の攻略法については、それぞれ一家言あり、それこそ収拾がつきません。
例えば、
「筍3つに0.5俵が王道だ」とか、「かまぼこはご飯が半分の時」とか、「あんずが最初」、
「否、あんずは最後だ」…… 「シウマイはおかずでは無くビールの友、おかずは鮪」等々、
百家争鳴、永遠に決着しない論争に巻き込まれます。
なので、横浜市民の食べているシウマイ弁当に、例え玉子焼きや鶏唐揚げが残されていても、(滅多にありませんが)「これ要らない」とか言ってくれた場合以外には、決して手を出してはいけません。
「あ~、最後の最後の楽しみを奪った~」等といわれ、後々まで恨まれます。
あまり深入りも… なので、この件はここまでにしたいと思います。
唐突ですが、シウマイ弁当には二種類あるのをご存知でしょうか。
![イメージ 9](https://stat.ameba.jp/user_images/20191111/20/ccobouex/66/4c/j/o0448032014637508317.jpg?caw=800)
![イメージ 8](https://stat.ameba.jp/user_images/20191111/20/ccobouex/dc/d4/j/o0439032014637508319.jpg?caw=800)
十字に紐がかけらているタイプと、紐の無いタイプの二種類があります。
紐ありは、紐を外すと黄色の掛け紙がかかっています。
![イメージ 10](https://stat.ameba.jp/user_images/20191111/20/ccobouex/b0/de/j/o0520039014637508321.jpg?caw=800)
紐無しはフィルム包装を外し、
![イメージ 11](https://stat.ameba.jp/user_images/20191111/20/ccobouex/44/79/j/o0520039014637508325.jpg?caw=800)
紙蓋を外します。
![イメージ 12](https://stat.ameba.jp/user_images/20191111/20/ccobouex/41/64/j/o0520039014637508329.jpg?caw=800)
この包装方法の違い、
横浜市西区の崎陽軒本社で製造されたものが紐ありで、主に横浜市を中心とする神奈川県内で販売されています。
![イメージ 13](https://stat.ameba.jp/user_images/20191111/20/ccobouex/d1/eb/j/o0520039014637508333.jpg?caw=800)
紐無しタイプは、東京都江東区の東京工場の製造で、東京、千葉、埼玉で販売されています。
![イメージ 14](https://stat.ameba.jp/user_images/20191111/20/ccobouex/c7/13/j/o0520039014637508338.jpg?caw=800)
何故、製造拠点により包装に違いがあるのかは分かりませんが、昔ながらの紐と掛け紙を外すのは、神奈川県内だけのお楽しみです。
ちなみにシウマイは、横浜市都筑区の横浜工場で製造しています。
![イメージ 3](https://stat.ameba.jp/user_images/20191111/20/ccobouex/fc/71/j/o0520039014637508341.jpg?caw=800)
崎陽軒のシウマイといえばもうひとつ。
独特な形の醤油入れ 「ひょうちゃん」 の存在を忘れる訳にはいきません。
ひょうちゃんが登場したのは1955年。
「フクちゃん」で知られた漫画家、横山隆一氏が48態の絵を描いたものが始まりです。
この48種類のひょうちゃんは、1955年の登場から1988年まで、33年間使われていました。
ちなみに現在の「ひょうちゃん」は三代目。
初代の横山氏の絵柄を使い、2003年から使われています。
絵柄は初代と同じ48種類ですが、形が大小ふたつあるので全部で96種類あります。
写真の「ひょうちゃん」は小のほう。 大は頭の上に栓がついています。
![イメージ 4](https://stat.ameba.jp/user_images/20191111/20/ccobouex/62/d5/j/o0520039014637508343.jpg?caw=800)
現在「ひょうちゃん」が付いてくるのは、通称「赤箱」のシウマイ15個と30個、「特製シウマイ」です。
![イメージ 1](https://stat.ameba.jp/user_images/20191111/20/ccobouex/49/f7/j/o0520039014637508304.jpg?caw=800)
但し、羽田空港で販売されているシウマイには「ひょうちゃん」が付いていません。
「ひょうちゃん」の口はゴム栓を差し込む形なので飛行中の気圧の変化で外れてしまう可能性があり、羽田空港で販売されているシウマイは、シウマイ弁当と同じ、スクリューキャップのプラスチック製醤油入れに変更されているのです。
気圧の変化に対応する、スクリューキャップのプラスチック製醤油入れ。
![イメージ 5](https://stat.ameba.jp/user_images/20191111/20/ccobouex/74/23/j/o0520039014637508346.jpg?caw=800)
二代目「ひょうちゃん」も忘れる訳にはいきません。
二代目は1988年から2003年まで使われていました。
現物が無いのが残念ですが、絵を描いたのは「オサムグッズ」で知られる原田治氏。
この絵を見ると分かる方も多いかもしれません。
原田治氏のイラストは、かつてミスタードーナッツのノベルディによく使われていました。
![イメージ 6](https://stat.ameba.jp/user_images/20191111/20/ccobouex/fb/57/j/o0520039014637508353.jpg?caw=800)
二代目「ひょうちゃん」は絵柄が80種類。
加えてこの時には色が4種類、サイズが大小2種類。 合計で640パターンもありました。
他にも、期間限定やイベント記念バージョンが登場したこともあるようです。
などなど、一部地域に絶大な人気を誇る「シウマイ弁当」についででした。
あ、ちなみに私、横浜市民ではありません(笑)
横浜市民の皆さま、どうかお許しくださいませ。