台風が近づいていた。
サクは重体の亜紀を連れて病室を抜け出し、タクシーで空港へと向かう。
外は豪雨だった。
空港のロビーで出発を待っている間、言葉を交わす二人。
亜紀の声はか細く気力がない。
「ねぇ…サクの誕生日は、11月3日でしょう」
「そうだよ」
「私の誕生日が10月28日だから、サクがこの世に生れてから、
私がいなかったことは1秒だってないんだよ」
「私がいなくなっても、サクの世界であり続けるわ…」
空港にアナウンスが響く。
乗り継ぎの成田行きの便が、台風の影響で欠航になったという。
この便に乗らなければオーストラリアには行けない。
慌てて空港職員に詰め寄るサク。
「どうしても行かなきゃいけないんだよ!」
今日は代りの便はないと言われる。
亜紀がベンチから立ち上がって、サクの方へと歩み寄ろうとするが、
すぐに倒れてしまう。
走って亜紀を抱きかけるサク。
「行けないの・・・?」
「行けるよ、この次」
「ないんだってば・・・この次なんてないんだってば!」
「まだ大丈夫だよ、生きてるよ」
「まだ私、生きてるよ…」
そう言い終えると、亜紀は意識をうしなってしまう。
「亜紀…亜紀…!」
サクは誰に向かってでもなくつぶやく。
「助けてください…」
つぶやきは絶叫へと代わっていく。
「助けてください…!助けてください!!」
映画「●界の中心で、愛をさけぶ」の1シーン
おはようございます。
過去最高に長い前書きを書いてしまった
おおたです。
みなさん、きょうから更新の長良川情報局みていただいたでしょうか?
今週の紹介するVTRの1本を僕が担当しまして、
今日は、その裏話をご紹介します。
まず、自分が担当したVTRは「身近なギモン」。
視聴者さんからお便りいただいて、その疑問を解決するコーナーです。
細かい内容は、番組をみていただいて知っていただきたいので、
ざっくりとしたお伝え方しかできませんが、
お便りは、
「今年の8月に関市富之保が新たに日本の中心と発表。
実際、富之保のどこ?
日本の中心で愛をさけびたい」…とのこと。
ここで、ある程度の方は、僕が何をしたいかお気付きだと思いますが、
このお便りを見た時点で、VTRのテイストは映画「●界の中心で、愛をさけぶ」を
連想させれるようなVTRを作りたいと考えていた自分。
それっぽい台本を作り、取材当日社用車に乗り撮影現場へ・・・。
で、ここからが裏話。
冒頭の前書きを思いだしながら読んでください。
いざ、中心地に行こうとしたら、
ごごごごごごごごごごごう!!!!
豪雨!!!
おいおいおいおい!!
台風が近づいていた。
スタッフはカメラを持ち出し、社用車(ヴィッツ)で現地へと向かう。
外は豪雨だった。
そう、まさに
映画のように台風が
近づいてきていたんです。
「あっ、●界の中心で、愛をさけぶ」だ!!って
気づいたんです。
「行けないの・・・?」
「ないんだってば・・・この次なんてないんだってば!」
僕には、
「取材できないの?」
「できますよ、室内撮影なら・・・外撮影は、この次・・・」
(食い気味で)
ないんだってば(怒)
もう締め切りまで時間
ないんだってば(怒怒)」
と、恐怖のシーンと化していました。
そして、僕はこうお願いしました。
「お天道様、映画を連想させたいといいましたが、
ここまで忠実に再現していただかなくても結構です(涙)」
すると、…雨は止みました。
(この先は、映画のような状況が起きなかったので、“…”の三文字に
簡略させていただきました(苦笑)
スミマセン。
完全に尻すぼみの日記になってしましました。
いつもは日記の神様が降りてきて、オチのある出来事までおきるのですが、
この日はあまりに冒頭の出来事に衝撃を受けすぎて、
僕の文章力でこの日記をまとめきれませんでした(涙)
ただただ、撮影現場では「あっ、こんなところにこんなものがあるんだ」と思う
何かがあるのと、
数か所まわった撮影現場では、
大変ご協力していただき、とても無事で平和に終わることがでしました。
ありがとうございました。
このあとの出来事は、是非OAでお楽しみください。
おおた