中小企業白書から事業承継を考える Vol.1 | シンダンシのひとりごと。

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新潟県を拠点に活動する中小企業診断士のブログです。

こんにちは。中小企業診断士・事業承継アドバイザーの土田正憲です。

 

天気予報によると今日は気温が30度まで上がるということでしたが、まったく暑くなく、過ごしやすい天候になりました。

皆さんが住まれている地域はいかがですか?

 

さて、今年度の中小企業白書では、「次世代への引継ぎ」と題して、中小企業の事業承継が取り上げられています。

★中小企業白書(中小企業庁ホームページ) http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H25/PDF/1304260DHakusyo_part2_chap1_web.pdf

 

白書では、これまでにも何度か事業承継が取り上げられてきましたが、今回は後継者選びと準備についてページが多く割かれており興味深い内容となっていました。

そこで今日から数回にわたり、この内容について触れていきたいと思います。

 

今日は第1節です。

ここでは事業承継を取り巻く状況について書かれています。そのポイントは次の6つです。

 

  1. 経営者の高齢化が進展している
    中規模企業よりも小規模事業者が顕著。
  2. 経営者が高齢である企業ほど経常利益が「減少傾向」と回答する割合が高い
    中規模企業よりも小規模事業者が顕著。
    高齢ほど「縮小・廃業したいと」と回答する割合が高い。
  3. 後継者への事業承継は総じて遅れている
    事業承継のタイミングについて「ちょうど良い時期だった」と回答する現経営者の承継時の平均年齢は43.7歳であるが、最近5年間の承継時の平均年齢は50.9歳となっている。
  4. 事業承継後の業績推移について「良くなった」と回答する割合が「悪くなった」を上回る
    承継継時の現経営者の年齢が若いほど業績が向上している傾向がある。
  5. 事業承継後に自社の経営に良い影響があったという企業は、地域や社会にも良い影響があったと考えている
    「やりがいのある就業機会の提供」「事業利益の地域への還元」「地域のコミュニティづくりや伝統文化の継承」などがあげられる。
  6. 親族外承継が増加している
    中規模企業で顕著。

 

これらのことから、事業承継は企業の成長発展に寄与するとともに、それが就業機会の提供などによって地域社会にも貢献するものであることがわかります。

 

しかしその一方で、後継者への事業承継の時期が遅れているという現状もみてとれます。

承継の時期が遅れ、経営者の高齢化が進めばその企業の業績はもとより地域社会に対してもマイナスの影響を与えることが考えられます。後継者不在で廃業ということになればその影響はなおさらです。ここで白書ではいくつかの企業事例を紹介していますが、そこからも経営者の世代交代の重要性を読みとることができます。

 

しかしながら、経営者が世代交代すれば業績が良くなるかといえば必ずしもそんなことはありません。事業承継後に業績が悪くなったと答えている企業が2割程度あるのです。この原因はさまざまだと思いますが、そのような事態にならないよう、早いうちから計画的に事業承継に取り組んでいくことが求められます。

 

ところで、以下は私が運営する事業承継サポート室の事業ミッションです。
★事業承継サポート室 http://www.jigyousyoukei-s.jp/

中小企業の事業承継を支援することにより、その持続的な成長と飛躍の実現、地域における産業の活性化および雇用の確保に貢献する

中小企業の事業承継支援がいかに大切なものか。このブログを書きながらミッションの重みを感じた次第です。

 

今日はここまで。

次回は、第2節の後継者選びについて見ていきたいと思います。