3ヶ月ほど前
実家で探し物をしていましたら
何かが入っている封筒を発見。

開けてみたら…
お爪が2組。

しかも…
今は亡き爪作り名人の作品。

小さい頃からこの方のお爪を使っていて
でも、ご高齢になり、亡くなってしまって
今はもう手に入らない爪。

うれしくて、うれしくて
たまりませんでした。


爪は消耗品。
だんだん磨耗してきてしまいます。
ですから、何組も必要なのです。

私の他にも
お弟子達に良い爪を使わせたくて
演奏する側として
体に染み付いたこのお爪の感触を
楽器屋さんや職人さんに
わがまま言って何度も何度も作っていただく、この10年ほどでした。

20年ぶりに私のもとに届いたお爪。

大切に、大切に使おうと思います。

楽器にあててみたら
なんと清らかな音色。

時を超えて
名人の技と心が響きました。

ですが
爪もね
奏者と馴染むのには
時間がかかるんです。

特に速い旋律の中にある奏法の
ほんの数度ほどの角度などで
ああ、まだ私のものになってないなあと
感じます。

磨耗させたくないから大切にしまっておきたいけれど
まずは信頼関係を築き上げるまで
私の指と一体化するまで
ここ最近はお弟子のお稽古の時にも使っていたんですが
気付いたお弟子はいたかな?
いないよなー。
っていうのは、なぜかというと
道具は、何でも結局ね
その人の音になるんです。
だから、どのお爪を使っていても
私の音は、いつもの私の音。

ただ、これだ!という道具でないと
そのいつもの音にするために
指や体に余計な負担がかかるんです。

私の愛してる、名人たちの作品は
お互いにパートナーだと自覚するまでは多少の時間がかかるものの
信頼関係を築いてしまえば
もうあとは何も違和感なく遠慮なく
一体となって、共に音楽を奏でてくれます。

道具。
だけど、もはや物ではなく大切なパートナー。
ほぼ擬人化してしまいます。






明日は、福島でお弟子さんたちが
先日の受賞の祝賀会をしてくれます。

ただカンパーイしたいんですが
演奏してください!とガーン

でもね
本当に日頃からお弟子さんには感謝。
もーもはや家族のようなもんですから
感謝の気持ち込めて演奏したいと思います。
ようやく馴染んできた、このお爪で。




そして、明日はこのお爪箱とお柱入れを使い初め。
直接音にはつながらない道具ですが
これも、本当に大切。
心がときめきます。
うれしいなぁ。
感謝。感謝。


ときめかないとね、いい音楽できません。
だから、日頃も
おなかいっぱいになれば、なんでもいいんじゃなくてね
美しくて、おいしくて、旬のものをどんどん体に取り入れよう。
ときめきながら。

というわけで
これから、お夕飯支度開始!


私のお爪の秘密
企業秘密のことを書こうと思ったのですが
長くなって、おなかが減っちゃったので
また今度!


遠藤千晶
http://www.chiaki-endo.com