8月30日の午後2時くらい。
小学六年生の彼女は隣のブースのサッカー部の男の子に恋をしていて
「あの子は此処でもうるさいよね、とても頭がおかしいの認知症だよ」って話してくれた
国語の読解テキストも語彙力向上のクロスワードテキストも投げ捨てて右を向きながら
左にいる私にずっと話しかけていた。
「夏はまだ終わらないよ」
小学六年生の彼女は私の似顔絵を描きながら少し呆れていった。
理由を聞かなくてもとりあえずその一言で今の小学生は典型的にませている気もした。
「まだ暑いしプールだってまだ開いてるよ、うちの朝顔とオクラはまだ咲いてるよ。」
「オクラは生で食べれると思っていたから洗わないで食べたら食べれなくてびっくりした」
「なんで熱を通したら柔らかくなって食べれるの?」
耳だけは一生懸命右に意識があるなあと思った。
私も彼女と同じクラスの大嫌いな女の子も「8月が終わると夏が終わってしまう気がする」って意見だったらしい。
私の回答は彼女による誘導尋問のような気もしたけれど。
確かに彼女は最初の授業より最後の授業で日焼けをしてきて水着の跡がくっきり残っていた。
彼女は私を好きだと何度も言ってくれた。
時間割表には私のコマにハートを描いていてその記号が描かれてない先生には
ぜひ時間割表を見せないで、と願った気もする。
彼には、いえる日がくるのかなあと思った。
彼女との授業は4回。
90分の授業が4回って結構長い。
最初の授業はなぜバスケットボールはバスケットボールという名前がついたのか、という文をよんだ。
「なんでこれが読みたかったの?」
題を彼女に選ばせてテキストをコピーしたからそう聞いた。
「友達がバスケ部だから」
自分はバスケ部でもなんでもなかったらしい。
彼女の部活はサッカー部だった。
なんとなく察してしまった私はなんだか考えてしまった。
だから彼女の日焼けも、靴下焼けも、膝のかさぶたも、夏だなあと思った。
「冬期講習またとるね」
冬休み私はいないかもしれないのに、彼女は私に伝えた。
「お手紙と夏はありがとうね」と意味の分からない返答をして今でも笑っちゃう。
