「私は、日向武雅です。
社会における諸問題に対して
ロボットというテクノロジーが最大限に貢献出来る可能性を追い求め、研究開発を続けて参りました。
その諸問題に於ける中でも世界的にも切迫したものの一つに、御高齢の皆様始めとする介護支援サービス業務があります。
昨今に於きましては、医療現場全体とも慢性的人材不足、対応の困難さの早急な解消が求められています。
それに対し介護対象者皆様、患者皆様へ24時間無休で対応可能なロボットの開発に成功することが出来ました。
これにより、現場担当者皆様の御負担の軽減に少しでもお役に立てることを、切に願う次第にございます」
私、日向武雅がニューヨークの国連本部での「世界ロボティクス・フォーラム」に参加要請を受け、訪れた日の出来事だった。
反抗期というのか思春期というのか、父親の私には一切懐かなくなっていたが、それも健全な成長と見守っていた。
認知してはいたが…………私の過ちにより孤児院にお世話になった娘カトリーナは、既に孤児院を出てしまっていて。
その後の行方は掴めずにいた。
ちょうど、そんな頃だった。

フォーラムも閉会となり、外の空気を吸おうと一人で表へ出た時。
女性は、子供の写真を掲げていた。
(あなた、国連の人でしょ?)
(何故、助けてくれないの?
何故、戦争を終わらせてくれないの?)
ただ、立ちすくむしかない私に。
女性は迫った。
「رجعولي أمل! ابني الوحيد!」 (アマルを返して!たった一人の息子を!)
動かせなくなった感情に支配され
ただ、ただ、その場にうずくまるしかなかった……………………
「ヘイ、ミスター!
こんなところでヒッチハイクかい!?」
ふと………突然、日本語で声をかけられた。

見ると、アロハシャツを着た恰幅良い男が、薄汚れたフォルクスワーゲン・ビートルの窓から顔を出していた。
それが…………
ドメニコ・マングスタとの出会いだった。
「これから行き付けのレストランで飯でも食おうかって来たんだけど、ミスターも一緒にどうだい?
ここらへんミッドタウン・イーストの治安はイイ方だが、これからの時間はアブナイ。
特にミスター、日本人だろ?
なに、怪しい者じゃないよ。
怪しい者ってのは、こんなポンコツなんか乗ってないもんだ笑」
いつの間にか、あたりは夕暮れだった。
驚く程流暢な日本語を話す、この陽気そうな男の誘いに乗って。
食欲は無かったがレストランへ移動することにした。
ここでうずくまっていても、どうしようも無かった。
そこは、国連本部から程近いイタリア料理のカジュアル・レストランだった。
「ここはボロネーゼやカルボナーラとか、カルパッチョなんかの日本人もよく知ってるはずのメニューばかりだ。
気兼ねしなくていい、奢らせてもらうのでなんでも頼んでくれ」
この店の明るい雰囲気とドメニコに感じた気さくさで、私の心も少しずつほぐれて行った。
「…………プロフェッサー。あなたが心を傷めた、この世界の現状を。
少しでも変えたいと願うのなら、いつでも私は惜しみなく力を貸そう。
…………さあ、飯にしよう!
ここの手製パスタはイケるぞ!」
私は涙を流しながらボロネーゼを口に運んだ。
世界のロボティクス工学は、ヒューマノイドの多様化へと進んでいた。
ドメニコは、私の持つヒューマノイドの技術を世界の子供達の未来を守る為に活かすべきだと進言した。
たとえ軍隊の攻撃を受けても、決して屈することの無い、強い防御力と攻撃力を持つ民間ロボットを、共に造って行こう!
それが世界を救う道だと。
「資金も開発環境も、既に整っている。
それを全てあなたに預けよう!
プロフェッサー。
あなたにしか出来ないことなのだ!!」
ドメニコの後押しを受けて、私は決断した。
素体の肉体そのものを残し、脳からダウンロードされた「Bewusstsein」=べヴスタイン(独語;意識)を組み込む方式で、戦闘ヒューマノイドとして再生させる計画=「ベヴスタイン計画」の実行を最初に検討したのが、実の娘の麻衣だった。
他所様の御子様に対し、最初に行なうことなど到底考えられなかった。
それでも麻衣本人には充分話した上での了解を得たかった。
だが…………妻の理解も得られなかった為、イスロのメンバーが強制的に計画を実行してしまった。
私は、せめて素体だけは厳重に保全してくれ!と頼んだ。
カトリーナ。
私の、何よりも大切な娘達………君達を失いたくはない!!
この世界から争いが無くなる日まで、我々は君達の未来を守らなくてはならない。
その為なら、私は何もかも投げ打っていい!!
この命さえも!

強くなってくれ!
自分自身を守る為に。
そして、世の平和を守る為に。
「麻衣、新しい技が出来たっていうんで。
スパーリングに来てやったよ」
研究室に突然現れた、華裏那に驚きながらも麻衣は牽制。
「大丈夫?
今度のは、電磁破壊プラス打撃だかんね」
華裏那は、いつものようにフン、と鼻で笑う。
「あたしを誰と思ってんの?
イスロの急ごしらえなヘボ・メカと一緒にすんじゃないよ」
麻衣も笑う。
「……それ聞いて安心した。
お手並み拝見だね、華裏那ネキ」
「ネキって、何それ笑」

…………父の思いは、確実に育っている。
※文中の団体・組織名及び人名は
実在するものと一切関わりありません
キャラクターアプリ;Picrew.me ChatGTP
Gemini
画像アプリ;You Can Perfect











