『春の風』第5話 11/18 byトット | [エイト通信] 北京ダック専門店中国茶房8〜Chinese cafe Eight〜のブログ

『春の風』第5話 11/18 byトット

第5話
 
あの出来事は何だったんだろう?何事も無かったかのように数日が過ぎた・・・。
王シェフにあの日の事は聞いていない。
たまに春怜の学校に迎えに行っているが、特にあれから、何も無い・・・
しかし、なぜか最近、心が落ち着かない。何かが起こりそうで・・・


今日も、何も無いはずだった・・・


いつもと同じように校門の前で春怜を待っている。

「おねえちゃん!お待たせ!」
明るい声で春怜が駆け寄ってくる。

あれから『おねえちゃん』から先には、いっていない。
それでもいい。
私は、王シェフと春怜の二人をいつまでも見ていられれば。
そう思いながら、いつもの帰り道を歩いていく。

「おねえちゃん、今日ね、男子に告白されちゃった!」
春怜が恥ずかしそうに下を見ながら言った。
「えー男の子に?どんな子?かっこいい?」
思わず笑みがこぼれる。
「うーん?顔はまぁまぁかな?」
少し、自慢げに答える春怜に、思わず言ってしまった。
「春怜ちゃんに彼氏が出来たら、もう大人の女性ね。」
はっと我に返り、言った事を後悔した。

しかし、春怜はそれを気にする事も無く
「そうね!私にかっこいい彼氏が出来たら、おねえちゃんも
 ママに変わるね!」
子供の言う事には、いつも驚かされる。
私は、気にし過ぎなのかもしれない・・・


「ママっ!」

えっ!突然の出来事に、意味が分からなくなる。
また、聞こえてしまった言葉・・・。
『ママ』
春怜が声を掛けた方を向くと、そこには綺麗な女性がいた・・・
直感的にわかる!この人だ!
あの日、王シェフと話をしていたのは!

春怜がママと呼んだ人が春怜に近づき、抱きしめる・・・
変な違和感を覚える。夢かマボロシの様な・・・

「あなたはどなた?」
声を掛けられて、ハッと現実に戻る。

「わたしは・・・」
答えに困っていると、春怜が答えた。
「パパのお友達のおねえちゃん。」 
なんて残酷な言葉だろう・・・
 
                                 続く