「失われた十年」は乗り越えられたか | 中央線で読む新書

「失われた十年」は乗り越えられたか

自動車や家電、流通の各セクター別に平成不況からの脱出を
いかに遂げたかを検証している。

部品部材メーカーについては最後に少しだけ触れられている。
この点によって、本書の満足度は低くなる。

部品部材こそが、人件費面で中国・韓国に負けるセットメーカーに
比べて、日本企業の活路と言える。

たとえばTDKはカセットテープなどの記録媒体のメーカーから、
ハードディスクの部品やコンデンサへのシフトをした。
あるいは自動車で使う小型バネを製造するニッパツがハードディスク
用のバネで成長したように部品メーカー自体も変化している。

失われた十年の乗り越え方としては、パソコンや液晶などのハイテクに
凸版印刷のような企業までが部品部材メーカーとして対応できたことに
注視する必要があろう。

また著者は中国を「世界の工場」としてしかいまだにとらえていない。
すでに「世界の市場」であるのは明かである。

いささか感覚の古さを随所に感じる。

【読むほどのものではない】 2006年
下川 浩一
「失われた十年」は乗り越えられたか―日本的経営の再検証