情報と国家 | 中央線で読む新書

情報と国家

「分かりやすい」、往々にして具体例や比喩、置き換えでもってそれに挑む
ものであるが、本書の場合は江畑の理路整然ぶりでもって分かりやすい。
「情報」の訳語はひとつだが、インフォメーションとインテリジェンスがある。
これを導入に、情報とは何かを説明していく。

(メモ書き)
・イラク戦争の要因のひとつに、イラク南北部の飛行禁止空域のパトロール
 の費用がバカにならず、いいかげんやめたかった。
・米国はイラクの大量破壊兵器保有の情報を、技術的手段(ようは偵察衛星
 による写真)に頼りすぎた。HUMINT(人的な手段)を軽視する傾向にあり、
 そのために実体が衛星写真以外でわからずに進んでいってしまった。
・フセインは軍事の素人。湾岸戦争時、中立の立場を取ったイランに航空兵力
 を避難させた。戦後、それらはイランに接収され戻ってくることはなかった。
・フセインは国軍とは別に、自ら直轄する共和国防衛隊を作るが、国軍とは
 指揮系統が別のために実践では混乱するだけであった。また共和国防衛隊
 の方が待遇がよく、そのために国軍の士気低下を招いた。 

amazonのレビューにネオコンもユダヤ人もキリスト教も持ち出さずに
イラク戦争を説明できる人は何故かあまりいない。」(佐々木さま)と
あるが、なるほどそうで、そう言う観点からもお勧めできる。
(佐々木さんは、本書を高くは評価していないが)

【書物としてGOOD】 2004年

江畑 謙介
情報と国家―収集・分析・評価の落とし穴