フォト・ジャーナリズム | 中央線で読む新書

フォト・ジャーナリズム

朝日新聞社の報道カメラマンで執筆時は「映像センターデスク」の
著者による。おおむね面白く読める。

ところが、報道被害についても触れるのだが、これが酷い。
和歌山毒カレー事件ではマスコミが事件のあった地域を占拠し続けた。
(この著者もその場に居る。)

この事故で長男を亡くした母親がその遺体を自宅に連れ戻る際も
マスコミは取り囲み、それが母親には堪えられなかったと後日告白した
とある。

それについてこの著者は

取材方法は適切か、被害者への配慮は十分になされているか、と
繰り返し自問しつつ、この母親の心情を忘れずにシャッターを切ら
なければならない。(155-156)

念じようが念じまいが、被害者の母親にとっては同じである。
これは朝日新聞社社内では通じるかも知れないが、一般社会では
まったく通じまい。

<「おばあちゃん ごめんよ」と念じながらダマしました>とマルチ商法の
詐欺師が言っているようなものである。

【暇つぶしにはGOOD】 2001年

徳山 喜雄
フォト・ジャーナリズム―いま写真に何ができるか