政治家の日本語 | 中央線で読む新書

政治家の日本語

かつて武村正義という政治家がいた。細川内閣の官房長官であり
新党さきがけの党首であった。彼は小沢一郎と小沢の新自由主義に
反目するかたちでリベラルを標榜していた代議士である。

彼が当時出した著書は「小さくともキラリと光る国・日本」
「キラリと光る」…この言語センスの悪さがそのまんま彼が率いた
新党さきがけの政治センスの悪さを現しているように思う。

さて本書は言葉によるパラダイムチェンジの政治史が本書の本旨。
時制にとらわれることなく、主に大平正芳内閣以降の政治を
上手いこと書き上げている。

93年5月 小沢一郎が「日本改造計画」 を出版する。これにて
「普通の国」という言葉が登場する。集団的自衛権・地方分権・
規制緩和・中央機構の再編などを行い、「普通の国」にするというもの。

その小沢とケンカ別れしたはずの橋本龍太郎(大きな政府志向)は
小沢と連立を組み省庁再編に取りかかる。同じく小沢を政敵とした
野中広務(集団的自衛権の拡大に本来は反対)は小沢の協力で
周辺事態法に取りかかかる。小沢包囲網として出発したYKKの
K・小泉純一郎は地方分権のとっかかりになる税源移譲を現在
行っている。 
という具合に小沢の政敵によって「普通の国」を日本は目指している
のである。

55年体制は自由民主党と社会党による社会民主主義体制であったのが
自民党分裂によって外部に小沢の新自由主義政党が出来たために、
自民党がようやっと党名にある「自由」を意識しだしたことであろうかと思う。

リベラル陣営が「護憲」「小さくともキラリと光る国」以外の言葉でもって
「普通の国」に対抗できずにしぼんでいった、それが93年に始まる政界
再編劇の言葉の政治史であろうか。

【通勤用にはGOOD】 2004年

都築 勉
政治家の日本語―ずらす・ぼかす・かわす