【農業成功事例 北海道内】
前の投稿では北海道東川町の人口増加・成功例をあげました。以下に道内の成功例やその方策を述べていきます。
§1.北海道岩見沢市の事例
人口74,091人(男34,568人 女39,523人)
世帯数 40,377世帯
面積 481平方キロメートル
農業体験参加者へ岩見沢市の優遇制度
滞在中の宿泊費(一泊につき上限5,000円)
滞在中の交通費全額
岩見沢市は交通の便が良く、農業が盛んな地域です。ふるさとワーホリでは、ログホテルでの業務体験や農業での収穫作業など、地域の魅力を活かしたプログラムが用意されています。
ログホテルは丸太をふんだんに使ったぬくもりのある温泉施設で、レストランと宿泊設備も備えられています。参加者は、施設内のレストランでのホールスタッフの仕事などを通じて地域の観光スポットでの業務を体験できます。
農業での収穫作業では、岩見沢市を支える主要産業である農業に触れる機会が提供されます。参加者からは「岩見沢の自然や景色についての印象が強く、新しい視点を得られた」と、満足度が高い感想を得ています。
岩見沢市役所企画室では、「住んでいる私たちにとっては何気ない日常の風景が、角度を変えるとそのように見えるのだと新しい視点をもらいました」と、ふるさとワーキングホリデーを通じた新たな気付きに手応えを感じています。
岩見沢市のふるさとワーキングホリデーは、双方にとって有意義な体験となり、地域の魅力をさらに高める一助となりました。
§2.北海道弟子屈町の事例
人口 7758人(男3679人、女4079人)
世帯数 3509世帯
面積:774.33平方キロメートル
農業体験参加者へ弟子屈町の優遇制度
居住地からの飛行機代の一部(往復で上限20,000円)
滞在中の宿泊費(1泊につき上限5,000円)
北海道弟子屈町のふるさとワーキングホリデーでは、古き良き温泉ホテルやゲストハウスなどでの清掃や受付業務を通じて、地域の暮らしに触れることができます。地域おこし協力隊との共同作業では、地域PR動画の制作などクリエイティブな活動も含まれ、幅広い体験プログラムが特徴的です。
体験者からは、地域との関わりや交流から生まれる人間関係が最も大きな収穫だったとの感想が寄せられています。地域のイベントへの積極的な参加や地域振興活動に関わることで、参加者は地域への愛着を深めました。彼らがSNSなどで体験を発信することで地域の魅力が広く知られ、移住や転職への一助となっています。
弟子屈町ではふるさとワーキングホリデーから移住・定住へのステップも用意しています。地域おこし協力隊の隊員や先輩移住者との交流、生活関連施設の見学、就職相談など、具体的なプログラムが用意され、移住への希望を持つ人々にとって魅力的な選択肢となっています。
§3.北海道釧路市の事例
人口154,031人外国人含む
(日本人男71,867人、日本人女80,815人)
外国人 1,349人(男449人、女900人)
世帯数 91,167世帯
面積 1,363平方キロメートル
農業体験参加者へ釧路市の優遇制度
滞在中の宿泊費全額(宿泊施設は市手配)
居住地からの飛行機代の一部(往復で上限50,000円)
釧路市が取り組む「くしろお試しワーキングホリデー」では、IT企業での営業、システムエンジニアのサポート、自動車メーカーでの自動車整備のアシスタント、ワインブドウの栽培管理、牧場の手伝いなど、幅広い職種を受け入れています。
特徴的なのは、ワーキングホリデー参加者が移住やUIJターン就職を希望する場合、「移住支援金」や「UIJターン支援金」などのサポートが受けられることです。協力企業と連携して奨学金の返済支援も行っており、移住を考えている人に大きな訴求力を発揮しています。
実際にUターンした方は、「東京での満員電車通勤から解放され、自然に囲まれた充実した生活を送っている」と述べており、豊かな自然と多様な職業体験が、地域活性化への大きな一歩となることを表しています。
※農林水産省-新規就農者調査
都市の過密状態やストレスフルな生活から、人間らしい暮らしを求めて、農業に目を向ける人も少なくありません。
農林水産省が主催する「田舎で働き隊」「地域おこし協力隊」に参加し、活動以降も農山漁村に定住する若者は数多く見られます。
また新規就農者のうち2割が 65 歳以上というデータもあり、リタイア後の人生のステージとして農業を選ぶ人が一定数いることが注目されています。
① 実際に農業を行うための農地確保や水利権の取得も、大きな壁となります。
さらに技術ノウハウを辛抱強く指導してくれる人がいなければ、初心者農家が存続するのは困難です。
収穫までの生計を個人の責任のみで維持できるかという点についても、現実問題としてはかなり難しいものがあります。
② 付加価値を高めたり、安定して販売ができるチャネルを開拓したりといった、他分野からのアイデア提供などのサポートが求められるところです。
自然災害は避けようがありませんが、収入源の多様化によってリスクを分散できれば離農の防止につなげられます。
§4.北海道士別市の事例
人口16,729人(男8,000人、女8,729人、外国人179人含む)
世帯数 8,184世帯
面積 1,119平方キロメートル
北海道士別市では未来型農業都市の実現に向けて、ICT営農支援システムを活用した農業活性化に取り組んでいます。
スマートフォンからクラウドサービスを簡単にでき、作業計画の作成や配信、GPSによる作業エリアの確認などが手元の操作で可能になります。
基礎となっているのは、ICTツールの農業への活用アイデアと、自動車メーカーによる生産方式のノウハウを農業へ応用するという大胆な考え方です。
システム化を進めることで、新規参入者や企業型農業の育成、また既存の農家の経営強化につなげられます。
プロジェクトの推進力となっているのは、士別市の「稼ぐ力のある農業」への思いでした。
これを受け、北海道銀行が情報提供や事業提案といった協力を行い、官民連携でコミュニケーションを強化しながら、新しい農業の道を切り開いています。
●地域おこし協力隊(農業支援員・酪農・めん羊飼育)の募集を基本に、就農相談会への参加や
道内大学などへのPR活動、就農体験の受け入れや市ホームページでの士別市農業の魅力発信
等、新規就農者の確保に向けた情報発信の取り組みを推進します。
●地域おこし協力隊等の農業研修者の活動状況を情報発信します。
《主な取り組み》
・地域おこし協力隊制度を活用した農業研修者の募集
・就農相談会への参加や道内大学、農業公社等への訪問によるPR活動
・市ホームページ等を活用した、農業研修者の受入や活動状況、士別市農業の魅力等の情報発信
・関係機関等への研修活動状況の情報発
農業研修者の受け入れと就農後の経営安定化
【推進事項】
●士別市担い手支援協議会や各地区の受入農家協議会等と連携を図り、地域おこし協力隊等の農
業研修者の受け入れ、実践的な研修を通じた農業技術の習得、就農後の経営安定化に向けた各
種資金の活用等、一体的な取り組みを推進します。
●地区別意見交換会等を通じ、農業研修者の受け入れ意向について現状の把握に努め、新たな地
区受入農家協議会の設立にあたっては関係機関と協力し支援します。
《主な取り組み》
・農業研修者の受け入れ【受入フロー図(P14参照)】
・農業研修者の農業技術の習得状況等を関係機関と連携し定期的に確認
・農業者等との地区別意見交換会の開催【各地区受入農家協議会設立フロー図(P15参照)】
・独立就農に向けた就農計画作成等の支援
・国の事業(農業次世代人材投資事業等)や各種資金の活用支援
・士別市農業農村担い手支援規則に基づく支援
§5.北海道下川町の事例
人口3,254人
世帯数 1733世帯
面積 644 平方キロメートル
北海道下川町は全国にファンを持つほどの、ブランド卵の産地として知られていました。
しかし養鶏場の事業継承問題を抱え、ブランド卵は危機に瀕していたのです。
それを解消したのが、6次産業化という手法でした。
課題に取り組むにあたっては銀行がシンクタンク的役割を果たし、北海道を基盤とし、広く全国展開を行うレストランチェーンとのビジネスマッチングに成功。
新しい経営者を温かく迎え入れた地元住民のサポートもあり、ブランド卵は新しい体制の下、存続の危機を乗り越えられました。
◎住宅取得に対する助成等
住宅を新築又は購入した場合に要する費用の1/20以内(上限1,500千円)、下川町産認証木材(FSC 認証・ SGEC認証)の使用量 1m3 当たり5万円加算(限度額 100万円)を補助
中古住宅の購入額の1/5以内(上限1,500千円)を補助
住宅の改修に対する助成等
自宅の改修で費用が1,000千円以上の場合、改修に要する費用の1/5以内(上限1,000千円)を補助
賃貸住宅の改修で費用が1,000千円以上の場合、省エネ改修に要する費用の1/5以内(上限750千円)を補助
住宅設備設置等に対する助成等
設置費を含み30万円以上の木質バイオマス活用機器を設置した場合、20万円の補助
1kW以上の太陽光発電システムを設置した場合、1/6以内(上限300千円)を補助
◎農林水産業への就業支援、担い手育成支援
新規就農予定者に対し2年を限度に月額20万円以内を貸付(無利子、5年間の農業経営で償還免除)
起業(創業)支援
起業のための研修等に係る経費(ソフト)の1/2以内(上限50万円)、施設整備等に係る経費(ハード)の1/3(上限250万円)を補助。
事業資金として200万円以内を融資、利率から1%減じ保証料率の2/3以内を加えた率に相当する額を利子補給。
事業承継のための研修等に係る経費(ソフト)の1/2以内(上限50万円)、施設整備等に係る経費(ハード)の1/3(上限250万円)を補助。
【以上北海道農業成功例の5市町村を紹介しました】
この他の市町村役場や農業従事者も農業衰退を食い止める努力をしていますし、各市議会議員も他市町村の農業成功事例の視察などや政策提案に懸命の努力をしております。
何もアクションを起こさなければ、そのまんま衰退し人口減少は加速して行きます。