ガラガララ。
「わりぃ。落ちた」

高校3年の夏。いつも通うお馴染みのひびを惜し気もなく魅せる校舎。3階建ての2階、見飽きた教室だ。
テストは好きじゃないが終わった後の時間が好きだった。カリカリとなり削るもの。削られるもの。 
削られるのは好きじゃない。 
今日のテスト監督はあいつか。 
後ろ姿は冷蔵庫、しかしどこか清潔感のある体育教師。
お馴染みの服装チェックから始まりカリカリしている冷蔵庫と生徒。なにもテスト前にやらなくても。そう言いたげな永岡。 
キーンコーンカーンコーン。 
冷蔵庫が歩きだす。横に立たれているときの気分は葬式の気分になる。 

かつ、かつ、かつ、 
かり、かり、かり。 

終わった。この瞬間を待っていた。 

あいつがいない。藤田、永岡こいつらは気付いていないがあいつがいない。  
ガラガララ。
「わりぃ。落ちた」
視線を集めあいつが教室に入ってきた。 
ん、落ちた。 

バッと左を見る。窓が開いている。
無我夢中で窓に駆け寄った。
下を覗くとツツジの垣根に冷蔵庫の跡がくっきりと残っている。 
わりぃ落ちた。