全日空 機内食6年ぶりにリニューアル ビジネス客に“家庭の味” | ビジネスブログ

全日空 機内食6年ぶりにリニューアル ビジネス客に“家庭の味”

 全日本空輸(ANA)は22日、中国や台湾、ソウル(金浦)線の国際線ビジネスクラスで、12月1日から新しい機内食を提供すると発表した。ビジネスクラスの機内食をリニューアルするのは6年ぶり。


 新メニューは料理家の栗原はるみさんが監修を担当。月替わりのメーンディッシュに「鴨つくねバーグ」「銀だらのみそ焼き」といった“家庭の味”を用意するなどし、ビジネス客の取り込みを狙う。全日空の山内純子客室本部長は「現在、航空会社は“機内食戦争”といってもいい状況。顧客に満足いただけるメニューになった」と自信を示した。


 運賃値上げや景気低迷の影響で観光旅客が減少するなか、単価の高いビジネスクラスは、重要な収益源として期待されている。同クラスのターゲットはビジネス客で、機内食をはじめとする機内サービスが航空会社選定の重要な要因になると判断し、工夫をこらした新メニューを提供する。今後も上級顧客向けサービスを充実する。


上質サービスで逆風に対抗


 航空各社は、通常3つに分類される国際線の座席クラスのうち、ファーストクラスとビジネスクラスを「収益の柱」と位置付ける。エコノミークラスに比べ、座席数が少ないものの、1人当たりの収益率が格段に高いためだ。


 ただ、その頼みの綱も金融危機に端を発した世界的な景気後退懸念や、企業業績の悪化見通しで、すでに利用客が減少し始めている。これまで海外出張でビジネスクラスを利用していた個人旅客が、エコノミークラスに変更する動きが、欧米企業を含めて目立ち始めている。


 日本航空の西松遥社長は21日の会見で「観光旅客は昨年から低迷しているが、8月以降はビジネス旅客にも影響し始めた」と明かした。


 実際、同社の8月の国際線輸送実績は、前年同月比13.3%減の108万6837人と、5~9%減で推移していた7月以前よりも大きく悪化した。また、22日に会見した全日空の山元峯生社長も「利用頻度の多い企業上位20社に入っていたリーマン・ブラザーズの破綻(はたん)で、ニューヨーク、ロンドン線は猛烈に落ち込んでいる」と明らかにした。全日空の場合、国際線ビジネス旅客数は8月以降、前年に比べ85~90%の水準で推移しているもよう。


 しかし、ビジネス旅客の落ち込みが激しくなるのは、むしろこれから。しかも、どこまで減少するかが読めない状況だ。それだけに全日空の例のようにサービスを強化せざるを得ないが、それだけで旅客をつなぎ止めるのには限界がある。


 今後、格安航空会社の日本就航が増える見通しだ。このままでは高コスト体質の日本の航空会社の弱点が露呈する恐れがあり、もう一段の対策が急がれる。


出典:フジサンケイ ビジネスアイ