九州の外食、「郊外」から脱却 駅前や社食・ホテルへ | ビジネスブログ

九州の外食、「郊外」から脱却 駅前や社食・ホテルへ

 九州の外食チェーン各社が郊外型店舗からの脱却に動いている。ガソリン高や個人消費の冷え込みで、これまで出店してきた大型の路面店では収益の確保が難しくなっているためだ。ロイヤル西日本(福岡市)や康正産業(鹿児島市)はビジネスホテルや大学など集客が見込める出店を始め、ジョイフルやプレナスは新型店を開発。来期以降に向け新たな収益源への布石を打つ。


 「ほぼ毎日利用する」。ふくおかフィナンシャルグループ(FG)本社の社員食堂で昼食を済ませた女性行員は満足そうだ。


 西日本で「ロイヤルホスト」などを手掛けるロイヤル西日本は6月から、ふくおかFG本社の社員食堂の運営を始めた。営業時間は午前十一時―午後2時と短時間ながら1日の来店客数は400―450人で、郊外店と同程度。平均客単価は480円と、郊外店の半分以下だが、内外装や賃料などのコストが不要だ。


 「郊外の外食店は飽和状態にある」(佐々木徳久ロイヤル西日本社長)ことから2008年12月期は郊外への出店をやめ、集客が見込める企業内食堂の運営受託やビジネスホテル内への出店を始めた。9月に九州共立大学(北九州市)で営業を開始した。ビジネスホテル内に3店舗出店、交渉中も3店舗ある。佐々木社長は「今後必要なのはローリスク・ローリターンのモデル」と強調する。


 鹿児島県を中心に和食レストラン「ふぁみり庵 はいから亭」などを約60店運営する康正産業も6月、JR鹿児島中央駅に近いビジネスホテル内に豚肉料理の新業態店を開業した。これまで郊外の幹線道路沿いに500―700平方メートルの大型店を出してきたが、既存店売上高の前年割れが続くため小型店の開発に乗り出した。


 出店コストが2億―3億円の大型店に比べ小型店は5000万―6000万円に抑えられ、1店当たりの社員数も3分の1―7分の1。09年5月期以降は郊外型店の出店を控え小型店を拡大する。


 ジョイフルも9月、初の都市型店舗を福岡・天神に開業。七階建てビルの1―3階に入居、駐車場はない。9月の売上高は郊外店の平均の約2倍に達した。九州を中心に約700ある店舗の既存店売上高は6カ月連続の前年割れ。天神の新店舗をモデルとして今後は大都市駅前立地への出店を拡大したい考えだ。


 うどん店チェーンのウエスト(福岡市、若山和夫社長)も6月、東京のJR高田馬場駅近くに初の駅前立地の小型店を開業。店舗面積は郊外店の約半分で6―9月の一坪当たり売上高は郊外店より3割以上高かった。


 持ち帰り弁当店チェーンも相次いで都市型店舗を開発している。プレナスは9月、オフィス街や駅前立地向けに営業時間を大幅短縮した店舗を福岡・天神に開業。ヒライ(熊本市、平井浩一郎社長)も飲食スペースを省いた小型店を開発、09年3月期に5店ほど出店する計画だ。


出典:日経ネット九州版