<犯人>
- 能条光三郎
劇団「幻想」男優。
長身の力強い体格に似合わない整った目鼻立ちの美青年。
口汚い言葉で他者を罵る自分本位の女たらしは仮の姿。
恋人の黒沢美歌の死の真相を知ったその日から、
彼女を自殺に追い込んだ3人に復讐を果たすために
全てを敵にまわす終わらない悪役を演じ続けた気高い犯人。
3人の殺害後、ビデオテープ隠滅のため訪れた
滝沢のマンションで逮捕された。
<被害者>
- 能条聖子
劇団「幻想」女優で、能条光三郎の妻。
劇団の理事長で財閥の当主でもある人物を父に持ち、
高圧的でワカガマでカンシャク持ち。
能条光三郎と黒沢美歌の仲を引き裂くために、滝沢と緑川に彼女を襲わせ、能条の性を手に入れる。
絞殺され、死体の上にはオペラ座の怪人の「カルカロッタ」のようにシャンデリアが落とされ、血肉のかたまりになった。
- 緑川由紀夫
劇団「幻想」男優。
痩せぎすで長髪の不健康顔のパシリ男。
小心者だが権威主義。口数が多い。
能条聖子の命で黒沢美歌を襲う。
絞殺され、死亡後、刺し傷を付けられた状態で給水糟に放り込まれ、「フィリップ伯爵」として血の海を漂っていた。
金でやとわれて加担させられたにすぎず、3人の中では唯一良心の呵責もあり、能条にさりげなく探りを入れてきたとの事。
もしもこの時に素直に謝っていれば、強姦の罪で公の場で裁かれる事にはなっても、彼だけは復讐のターゲットからは外されたかもしれない。
だが屑のフリをしていた能条の態度を見て安心し切った彼は、それ以降己の罪を顧みる事はなかったようで、その事に関しては能条も「バカな男ですよ…」と憐れみの言葉を口にしていた。
- 滝沢厚
劇団「幻想」男優。
目鼻立ちは整っているが、デブ。
ナルシストで、色と欲の塊のような男。
能条聖子の命で黒沢美歌を襲い、その様子をビデオテープに収める。
絞殺され、死体は「ジョセフ・ビュケ」として木に吊るされ、ワープロの遺書によって犯人に仕立て上げられた。
元々滝沢は強姦魔であり、美歌の他にも同じ目に遭わされた女性がたくさんいる模様。
しかも、尚更タチの悪い事に滝沢本人は自分の好色でサディスティックなところも女性には魅力的に映るだろうという、壮大な勘違いをしていたようである。
恐らく能条が何もしなくとも、遅かれ早かれいずれは被害者の女性達に報復されていた事だろう。
<容疑者>
- 黒沢和馬
リゾートホテル「オペラ座館」オーナー。
左頬に、愛娘を失った衝動による自傷の痕が残っている。
実は、日本で5本の指に入ると言われた劇団『幻想』の演出家。
- 加奈井理央
劇団「幻想」女優。
幼い顔立ちをしたショートカットの女性。
ノーブラタンクトップで人前に出るような軽い女
を装っているが、人をよく見て行動している。
黒沢オーナーの前では乙女チックな面を見せる。
黒沢美歌の親友。
- 間久部青次
画家。
極度のアレルギー体質で、
その素顔をゴーグルと大きなマスクで覆っている。
黒沢和馬と昔から付き合いのあるオペラ座館の常連で、館の近くには彼のためにアトリエまで建てられている。
人物の本質を見抜き、絵に表現する才能を持つ。
- 江口六郎
W大学の学生。
普通に好青年。
夏休みのたびにオペラ座館にアルバイトに来ている。
黒沢美歌の高校時代の同級生で、彼女に憧れていた。
<事件関係者>
- 黒沢美歌
劇団「幻想」女優で、黒沢和馬の娘。
無垢で、それでいて華やかな、才気あふれる美貌の女性だった。
能条光三郎と本気で愛し合い婚約までする仲となっていたが、
滝沢と緑川に穢され、4年前に失意のうちに自ら命を絶った。
- 結城英作
横浜で開業医をしている。
前回の事件以来オペラ座館を気に入り、週末によく来ていた。
相変わらずの不審者ぶりだが金田一に信用されている様子で、
容疑者というよりは完全に検死役。