■ １９８１年１０月発生の第３の事件
被害女性Ｉ.Cさん（当時２７、既婚）は、佐賀県杵島郡白石町東郷の在住で、北方町志久にある縫製会社・リムス（株）の従業員だった。
（画像向かって右側、赤枠内が白石町東郷地区）
（北方町志久にある縫製会社リムス。白石町東郷の２７歳女性Ｉさんと、後述する７人目の被害女性Ｙ.Tさんは、この会社の従業員だった）
１９８１年１０月７日（水）、Ｉさんはリムスでの勤務を終え、午後５時半ごろに近くのスーパーで買い物をした後、行方がわからなくなった。
最後に目撃されたのはスーパーの駐車場で、「赤茶色の乗用車に乗った３０代と思われる男と親しげに立ち話をしているところを見た」と同僚が証言した。家族と会社から、それぞれ捜索願が出された。
失踪から２週間後の１０月２１日、最後の目撃地点から約４０ｋｍ離れた三養基郡中原町（現みやき町）の空き地で、Ｉさんの遺体が見つかった。
現場は柵が設置され、簡単には人が入れない場所だった。
遺体は、勤務先である縫製会社リムスのネームが刺繍してある衣服を着用していた。
首には電気コードが４重に巻きつけられており、死因は絞殺。下着に乱れはなく、性的暴行の形跡はなかった。
腐乱が進んでおり、死後１～２週間は経っていた。
Ｉさんは、行方不明になる前に４日間、無断欠勤をしており、殺害された日の直前の５～６日の行動がわかっていない。
本人は会社に、「母親の看病のため」と説明していた。
（Ｉさんが遺棄されていたのが、中原町のどの地点なのかがわからなかった。そこで、Ｉさんの勤務先だったリムスと長崎本線・中原駅の距離を見てみると、約３７ｋｍだった。中原駅から、後述する小５女子Ｎさんの遺体発見現場までの距離を測ってみると、約２ｋｍ。「Ｉさんの遺体発見現場」と「Ｎさんの遺体発見現場」の距離が約２ｋｍだったというから、Ｉさんが遺棄されていたという中原町の空き地は、長崎本線の中原駅からそう遠くない場所ではないかと思うが、正確なところは不明。）
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■ １９８２年２月発生の第４の事件
被害者であるＮ.Kさん（当時１１）は、佐賀県三養基郡北茂安町白壁在住で、北茂安小学校５年の女子児童だった。
Ｎさんの自宅は、北茂安小学校から約３．３ｋｍ離れており、Ｎさんは民家の途切れた小高い丘をぬっている道を歩いて通学していた。
（現在のグーグルマップより。田舎の通学路であることが見て取れる）
１９８２年２月１７日（水）午後４時２０分ごろ、Ｎさんは友達２人と一緒に下校した。
Ｎさんは、途中の大瀬橋付近で友達と別れた。
（とネット情報にあるが、現場の地理に詳しくないので確信はないが、地図上で「大瀬橋」を探してみても見つからず、検索しても出てこない。もしかするとこれは、「大瀬橋」ではなく「通瀬橋」ではないかと思った。「通瀬橋」なら、北茂安小学校を出て県道２２号を東へ約２５０ｍ行ったところにある。事件直後の毎日新聞記事に、「Ｎさんは１７日午後４時２０分ごろ、同級生の友達二人と学校を出たが、学校近くの道路で別れた後、消息がわからなくなった」とあり、「通瀬橋」であれば、「学校近く」という条件や、Ｎさんの通学路に当たっているという条件も満たしているように思う。正確なところは不明。）
その後、Ｎさんは帰宅せず、心配した家族が同日午後８時４０分ごろに警察に届け出た。
翌１８日の朝、県警、地元消防団員らで、Ｎさん宅と小学校との間の範囲を重点的に捜索した。
その結果、１８日午前１１時半ごろ、北茂安中学校体育館北側の町道わきミカン畑で、Ｎさんの遺体が発見された。
遺体は赤いランドセルを背負ったままで、うつぶせの状態で、下半身は裸、首にはストッキングが巻きつけられていた。（死因は絞殺、性的暴行の痕跡あり）
Ｎさんの遺体発見現場は、前年（１９８１年）に杵島郡白石町の２７歳女性・Ｉさんの遺体が発見された空き地（中原町）から、約２ｋｍしか離れていなかった。
（１９８１年１１月２１日---事件の約３か月前に撮影された画像。遺棄現場は北茂安中学校体育館北側の町道わきミカン畑というので、水色枠内あたりと推測した。）
（北茂安小学校と、その約２５０ｍ東にある通瀬橋付近をやや拡大したもの。こちらは１９８１年１０月１２日---事件の約４か月前に撮影されたもの）
（１９８１年１１月２１日撮影画像の、北茂安中学校体育館付近をやや拡大したもの。Ｎさんの遺体は、この体育館北側の町道わきミカン畑で発見されたという。画像中、体育館の北側に広がる道わきの農地のどこかだろうか）
Ｎさんが行方不明になる前に、いくつかの不審者情報があった。ネット情報には次のようにある。（引用）
「まず北茂安町の国道３４号線沿い『キュウピィマーケット前』バス停でバスを待っていた主婦に、白い車に乗ってきた男が『乗っていかんですか』としつこく声をかけていた。
男の年齢は３０から４０ぐらいで、鼻筋の通った眼のきつい細面の男だった。
主婦は男のあまりにしつこい誘いに『警察を呼びますよ』と断ったところ、男は睨みつけながら車に戻っていった。
続いて午後２時半頃、同じような白い車が同県神埼郡三戸田町の三戸田小学校の校舎の傍に停まっていた。ここは主婦に声をかけたバス停から約５ｋｍのところである。低学年の児童らが下校する時間帯のことで、白い車を降りた中年男は１人の児童に『そこに座んなさい』と声をかけ、『ピンクレディーの写真を見せるからこっちへ来なさい』と言いながら児童を抱きかかえて女子便所に連れこんだ。ところが児童は大声で泣き出したため、男は何もせずに姿を消した。
午後３時１０分頃、白い車は再び北茂安町にあらわれた。下校中の北茂安中学校の女子生徒２人にしつこく話しかけ、午後３時半頃には小学２年の女児児童３人に『家まで送るから乗らんね』と声をかけている。
Ｎさんが姿を消すのはその３０分後である。
午後４時半ごろ、遺体発見現場付近に白い乗用車が停めてあったのを主婦が目撃。この白い車に乗った中年男こそが犯人という線がかなり濃厚だった。
いくつかの目撃情報によると、白い車の車種は『カローラ』『スプリンター』あるいは『ダイハツクオーレ』のようなタイプと見られ、ナンバーは『福岡？？？６９５０』。
男は年齢３０～４０歳程度、鼻筋の通った目のきつい細面の中年男、ジャンパーに青いズボンを履いていた。
ところがこれだけ目撃され、情報が提供されたものの、男の足取りは掴めなかった。
その手口や、遺体発見現場の近さなどから、（前年に殺害され中原町の空き地で遺体で発見された）Ｉさん殺しの犯人と同一人物ではないかと見られた。」
（１９８２年２月２０日付、佐賀新聞の記事では白い車の男の似顔絵も公開された。洋泉社『殺しの手帖』鈴木智彦氏のレポートより。同書にはオカクロさんによる井の頭公園バラバラ殺人事件のレポートその他、興味深い記事が多数掲載されており、買ってお読みになることをお勧めしたい）
国道３４号線沿いの「キュウピィマーケット前」バス停の地図上の位置はどこなのかを調べようとしたのだが、検索しても出てこなかった。
Ｎさんの遺体が発見された北茂安中学校体育館北側の農地あたりから、直線で約７ｋｍ離れた位置（鳥栖市の国道３４号線沿い）に「キユーピー鳥栖工場」があるにはあるが、１９８２年当時には、隣の北茂安町の国道３４号線沿いに「キユーピーマーケット」というお店か何かがあり、そこの前にバス停があったが現在は存在していない、ということなのかもしれない。
１９８２年当時の北茂安町の国道３４号線を走っていた路線バスの運行表を見れば、あるいは載っているかもしれないので、気になる方は調べてみていただければと。
また上の引用中、「白い車が同県神埼郡三戸田町の、三戸田小学校の校舎の傍に停まっていた」とある。
そこで、「三戸田町」「三戸田小学校」の位置を地図上で確認しようとして気づいたのだが、これは私の検索不足かもしれず確信が持てないのだが、神埼郡のみならず佐賀県自体に、かつて「三戸田町」という町は存在していないのではないかと。
当然、「三戸田町の三戸田小学校」というものも存在しておらず、もしかするとこれは「神埼郡三田川町の三田川小学校」か何かを誤って「三戸田町の三戸田小学校」と表記されたのではないか、と推測したがどうだろうか。
「三田川町の三田川小学校」なら、国道３４号線沿いに、事件当時実在していた。
「実在していた」というのは、「三田川町」が２００６年に東脊振村と合併して「吉野ヶ里町」となり、「三田川町」の名前が消えたということであって、事件当時にあった「三田川町立三田川小学校」は、現在「吉野ヶ里町立三田川小学校」として存続している。
しかも同校は、Ｎさんが遺体で発見された北茂安中学校体育館北側の農地あたりからは直線で約６ｋｍの距離なので、位置的にも、無理なく符合するのではないかと。
（画像向かって左下、三田川小学校）
神埼郡のウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E5%9F%BC%E9%83%A1
とはいえ、確信はないので、気になる方は独自に調べてみていただければと。
その他情報として、Ｎさんが下校途中で行方不明になった翌日の２月１８日午前７時１５分、Ｎさんと仲の良い友人の家に女の子の声で電話があった。
その内容は、「Ｎです。〇〇ちゃんはいますか？」というものであり、家人が「もう学校へ行きましたよ」と答えると、黙って電話が切れたという。
その電話の約４時間後（午前１１時半ごろ）、Ｎさんは、北茂安中学校体育館北側の町道わきミカン畑で遺体で発見された。
翌２月１９日には、「北茂安町」「学校」「保健所」宛てに、「誘拐して（金を）要求するつもりだった。しかし本人が騒いだので殺した」と書かれた葉書が届いた。