ベトナムと中国:中国の新しい作戦 | cbsolutionsのブログ

ベトナムと中国:中国の新しい作戦

ちょっと前の記事ですが、さすが中国という感じの記事が日経に載っていました。

「中国、カンボジア・ラオスに急接近 援助でASEAN分断」 日経新聞 6月11日
http://www.nikkei.com/etc/accounts/login?dps=3&url=http%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Fnews%2Flatest%2Farticle%2Fg%3D96958A9C9381959FE2EBE2E6E18DE3E2E2E4E0E2E3E39494E3E2E2E2

現在南沙諸島付近の海域を巡って、ベトナムとフィリピンは中国と衝突を重ね、中国の度重なる調査妨害などによって緊張は日に日に高まっています。それに合わせてアメリカも直接介入はまだしていませんが、ベトナムとパートナー関係を結ぶと宣言したり、軍艦を派遣すると言ったり、この対立の乗じて、中国にプレッシャーをかけつつ東南アジアでの存在感を強めようとしています。

この記事にある中国にあるアプローチは従来の威圧ではなく、ベトナムに経済的にダメージを与える有効な方法だと思います。カンボジア、ラオスは共に経済力はそれほどありませんが、今後のベトナムの成長に多大な影響を与える重要な隣国です。

昨年ベトナムの中部都市ダナンからラオスを抜けタイ、ミャンマーにまで通じるインドシナ半島を横断する国際高速道路で、それぞれの国での工業製品、輸出物を陸路でダナンまで運び、ダナンから輸出・国内流通、また反対に輸入品をダナンから入れ陸路でそれぞれの国へと運ぶと計画です。このためにベトナムは1000億近い費用をかけ、ダナン港を整備しました。これにより海路だとタイから1週間以上かかるものが半分の3日程で済みます。

またこれと同じように第二東西回廊はホーチミンからプノンペンを通り、バンコクが終点です。

この二つの高速道路は関係国に物流面で時間短縮という恩恵を与えますが、一番恩恵を受けるのはやはりベトナムでしょう。これにより今までシンガポール経由で出ていたコンテナがベトナムから出向することになり、アジアの物流で重要な地位を占めることができます。地理的にも恵まれた条件を存分に生かすことができます。

しかし、これにはいろいろ通関や、コンテナの載せ替えなどいろいろな問題があります(ベトナムは右側、カンボジア・ラオスは左側通行のためトラックを税関で変えなければならない)。

今のところ工業国としてそれほど成長していないラオスとカンボジアにとって、この経済回廊の通過国であり、今のところそんなに利益のあるものではありません。

中国が十分にある外貨準備高を使い(また元の為替を保つためにも使う必要がある)、十分な援助を両国にすれば通関作業などで遅延等でベトナムを困らせる事が出来るでしょう。多くの物流業者にとって、陸路でベトナムへの通関に対して問題が出るのなら、従来通り海路で物流を行う事も十分考えられます。そうなると今までのベトナムの努力は水の泡です。

さすがは中国四千年の歴史だと私は思うのですが、これが領海争いにどのような影響をもたらすのでしょうか?