【1】流行し続ける“200X年問題”~そして今年も?

 1》ノストラダムスから始まった?
 
  ノストラダムスの大著“諸世紀”を解釈して、1999年に世界は滅びると
  言われたことはさておいても、翌年の2000年から○○年問題という形式が
  “定着”してしまったかのようです。
  
  たとえば2000年問題は、年号を下2桁でしか認識しないコンピュータが、
  2000年と1900年を混同して誤作動を起こすとされたもので、
  コンピュータで飛ぶ飛行機が墜落するとまで言われました。
  
  次に2003年問題では、大型オフィスビル完成ラッシュに沸く東京で、
  賃貸オフィスの賃料が暴落し、それに伴って東京から全国へ、
  再び地価下落の嵐が起きると指摘されました。


 2》更に続く“200X年”問題
 
  更に、2004年1月1日に施行された新著作権法で、2003年12月31日24時と
  2004年1月1日0時は、同じ日か別の日かが争われたのが2004年問題です。

  裁判所はその後、常識通り両者を別の日として、著作権の適応範囲を
  明確にしました(ローマの休日事件:2006年7月11日東京地裁)が、
  当時は2004年問題として、主として著作権を争うメディア業界を
  にぎわせました。

  そして2005年問題としては、東京で、今度はオフィスビルではなく、
  分譲マンションの過剰供給で価格が暴落するという噂がありましたが、
  逆にその後、東京都心のマンション価格は値上がりに転じており、
  ようやく“200X年問題”は終息したかに見えたわけです。
 
  そうでなくても、問題が一部の関係者に限定され過ぎて、
  この種の問題が一般の興味をひかなくなりました。

  そんな沈滞ムードを一掃したのが2006年問題です。


 3》2006年問題?2007年問題?
 
  その2006年問題とは、日本の人口が2006年をピークに減少に転じる
  (実際には、既に2004年にピークを迎えたことが2006年に確定)という
  歴史的な事象ですし、“ゆとり教育”を受けた層が初めて大学に入学する
  “教育問題”の象徴でもありました。
  
  ただ、いずれも短期で影響が出る課題ではなかったため
  『ああそうか』程度で終わってしまった形跡もあります。
  
  しかし、2007年問題ではそうも言っていられないようなのです。


【2】“2007年問題”~再び世の中全体に“衝撃”?

 1》2007年問題とは…
 
  2007年問題とは、60歳の“退職年齢”に達する人口が、前年、
  つまり2006年の約1.6倍に達するという、非常に大きな問題だとされます。
  
  これは65歳定年制度が定着しないまま、大企業を中心に団塊の世代が
  (定年)退職してしまうからで、企業にとって、仕事のノウハウを
  中核的に担った層の大量退職が大きな問題になり、
  市場では、時間と資金を豊かに持つ高齢消費者の急増
  指摘されるわけです。
  
  ただ、それが良いことなのか悪いことなのかを考える前に、
  まずは確認すべきことがあるようです。


 2》“1.6倍”の背景を見ると…
 
  実際に人口データを見ることにしましょう。
  下のグラフは総務省統計局がインターネットで発表している
  平成15年(2003年)の国勢調査の結果を、年齢別の人口で表したものです。



  このグラフでは、確かに1947~50年生まれの人口が突出しています。
  そして、1947年生まれが60歳に達する2007年から、この層が大挙して
  “(定年)退職”すれば、確かに企業も市場も大きく変化することでしょう。

  しかし2007年の60歳該当者、つまり1947年生まれの人口が
  前年の1.6倍に達する最大の理由は、戦争末期と直後の混乱の中で、
  子供どころではなかった状況にあったためであり、
  むしろ、その少なさの方が異常なのです。
 
  だとすれば、2007年問題にもそれほどの衝撃はなさそうなのです。