NHK土曜ドラマ 『ハゲタカ』


 外資系投資ファンドのファンドマネージャーが主人公となって
 日本企業に次々、買収を仕掛けていくというドラマ。

 つい先日までNHKで放送されていましたが、
 ご覧になった方もおみえになるのではないでしょうか?

 このように最近は、ドラマでも取り上げられ、
 経済新聞や経済誌だけではなく一般の新聞などでも

 良く見かけるようになった「合併」「買収」など企業再編。

 この流れは、記憶に新しい数年前、IT関連の企業が

 「競争力の強化」や「成長のスピード」を追い求めて

 企業の買収を進め、それが連日、ワイドショーに取り上げられた

 ころから始まったものだと言えます。


 最近では企業再編に積極的な人を

 「時代の寵児」ともてはやすことはなくなりましたが、

 つい先日前には老舗百貨店同士が提携する、といったニュースが

 大々的に新聞の一面を飾っており、

 身近な話題になりつつあります。

 このような複数の「大企業」が関係する「合併」「買収」などは
 「二社が統合すれば売上規模では○○を抜いて業界最大手になる」

 など、それだけインパクトが強く、注目を集めやすいです。

 そのようにインパクトの強いものだけが注目を集めているために、
 ニュースなどを見ている側が
 「合併や買収などは大企業にしか関係がないことだ」
 という誤解が生じているように思います。

 しかし、中小企業には中小企業に合った、

 独自の「企業再編」があり、

 かつ今後はそれが増えていくはずです。

 そしてそのときに、大企業とは状況が全く違うにもかかわらず、
 企業再編について

 「大企業がああしているとニュースでやっていたから」
 というような固定観念を強引に中小企業に当てはめてしまえば、
 思わぬ「落とし穴」におちてしまうことでしょう。


 ところで、大企業が積極的に進めている企業再編は
 果たして「成功」しているといえるのでしょうか?

 何を「成功」とすべきかという問題もありますが、
 「競争力の強化」や「成長のスピード」を強く求める

 大企業の企業再編は、短時間で結果を求める必要があり、

 また利害関係人も多数にのぼるため、痛みをともなった

 「ハードランディング」になりやすい傾向にあります。

 そしてその成果と引換えにして一方

 (特に吸収されて消滅する側)の
 「地域性」や「企業文化」といったものが完全に消えてしまって、
 逆に評判が落ちた事例も往々にしてあるのです。

 それと同じことを「地域性」や「企業文化」が

 色濃く出ている中小企業がやってしまっては

 逆にマイナスの効果が出るでしょう。
 
 ですから、中小企業は「それに合った形」での企業再編を考え、
 それを求めていく必要があるのです。

 そしてそれは、法律論やロジック(論理)、
 カネといった無味乾燥のものではなく、
 「想い」や「ファン」「地域性」「社風」といった

 「非論理的なもの」、だけれども「あたたかみ」を感じるものが

 中心になると考えます。

 また企業再編の当事者同士がお互いに「調和」し、

 ウインウインの関係をつくっていけるか、

 が大切な視点なのではないでしょうか。

 上記のことは「企業再編」に限ったことではありません。


 「青臭い」かもしれませんが、

 中小企業には「血の通った」経営が、


 企業の存続に欠かせない要素だと思っています。

 なぜなら、「経営者の個性」「従業員の人間性」が

 全面にでてくるもの、それが、中小企業だからなのです。