どうも。

風邪ですが、ほぼ二日で完治させました。

もっとゆっくり風邪ひきたいんですが、そんな暇も無いのです。

「2104年シリーズ」こないだの続き~。


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「久しく見なかったな。」

俺に気づいてケンケンパをやめ、しばらく居心地の悪そうな顔をしていたケンケンに話しかけた。

ケンケンは眉間に皺を寄せたまま、上目遣いで一度うなずいた。

唯でさえ弱気な目つきを、長いまつげが一層弱気っぽくさせていた。

「小学校も休みかい?あいにく高校は休みなんだが・・・」

俺は、なにがあいにくなんだろう?と思いつつもそのように言った。あるいはあまりにもケンケンの目つきが弱々しく居心地が悪そうなので、思ってもいない事を勇み足で言ってしまったのかもしれない。

「ズル休みじゃないよ。学校はお休みだし、でもお家にいるとママにしかられるからココで遊んでるんだよ。」

別に咎めたつもりはないが、ケンケンは弁解するような口調で言った。

「そうか。ケンケンが悪い事なんてするわけ無いだろうからきっとそうだろうと思ったよ。」

「うん。」

返事をしながらケンケンは大きく息をはいた。そしてそれと同時に眉間の皺が少し緩んだ。幾分リラックスしてくれたようだ。いや、リラックスしたのは俺も同じだった。ようやくケンケンが気を許してくれたのだから。


ケンケンというこの小学生はものすごく気が弱い。まるで人にエサを与えられた野良猫のように、いつも相手を警戒し、上目遣いで話をする。ケンケンの話を虫食い様に聞くところによると、どうやら家庭内にいささか問題があるようだ。その悲しい事実にケンケン自前の弱々しさが加わって、俺としてはどうしても同情の感がたかまってしまうのだった。そしていつも様も無いのに話をしてしまう。話かける割には逆に申し訳ないような気がしてしまい、いつだって会話はこの様なありさまなのだ。


「今日もケンケンかい?」

高床式になっているコンテナの階段を下りながら聞いた。

「そうだよ。ボクにはこれ位しか遊びが無いから。」

「そんな事はないだろう。遊びなら他にも色々あるじゃないか。」

「・・・うん。」

「例えばさ、」

例えば鬼ごっこやかくれんぼ、と言おうとしたが言えなかった。それはケンケンには友達がいないのだろうと思ったからだ。実際はどうか分からない。分からないが、こんなに弱気な子の事だから、きっと学校でもそれほどいい位置関係にはいないだろうと感じた。

「例えば、縄跳びとかさ。」

鬼ごっことかくれんぼを上手く胃に押し込んで、脳みそから一人で出来る遊びを引っ張り出した。

「うん。でも縄跳びなんて持ってないし、それにケンケンパは割と好きなんだ、ボク。」

「そうか。まぁケンケンがいつもケンケンパやってるの知ってるし、きっと好きなんだろうと思ったよ。」

「うん。」

ケンケンは笑った。しかし純粋な笑顔ではなかった。それは愛想笑いか、あるいは苦笑いのような、薄い笑顔だった。

「何度だって飛ぶんだ。」

少し間をおいてからケンケンは言った。

俺は何度か首を縦に振った。

「リズムよく何度も飛ぶんだ。リズムに乗るとどこまでもいけるような気持ちになるんだ。まるで飛べるみたいに、すごく早く動けるみたいに感じて。」

ケンケンの薄い笑顔は照れ笑いに変わっていた。微妙な変化だが、先ほどより眉間の皺が緩んで目が細くなっていた。それは確かに照れ笑いだった。こうして純粋に出てきた笑顔をみると、とてもかわいらしく見える。いつもは口をややへの字に閉じて、眉間に沢山の荒波を作っているので気がつかなかった事だった。


それからケンケンはケンケンパをはじめた。「リズムよく」とはとても言えないし、危なっかしい足取りだったが、それでもケンケンは夢中にそれを続けていた。

あるいはそれはケンケン独自のリズムなのかもしれないと思った。人にはそれぞれリズムがあって、それは各々の血脈の速さが違うように、当たり前に違っているのかも知れないなと思った。


俺はケンケンとは逆の方向に足を向け、マーケットに向かった。気づけば背中にTシャツがピットリとまとわりついていた。既に気温はぐんぐん上昇しつつあるのだ。そして俺は汗をかき始めている。

もう一度振り返りケンケンを見たが、ケンケンは気温の上昇などには目もくれず集中しているようだった。


バックアップ地区のはずれにある地下道に入ると、ひんやりとした空気が降ってきた。文字通り降ってきたような感覚だった。緩やかな斜面を下り、幅2メートルほどの地下道に入ったとたんに、まるで冷たい光に照らされているように、しんしんと冷機が降ってくるのを感じた。そうして心地よい冷機に触れながら、地下道を何十分か歩き、ようやくマーケットへたどり着いた。

俺はマーケットへつくまでの間、知らず知らずのうちに自分のステップに意識を向けていた。そして自分のリズムを把握しようと、ぼんやりとではあるが集中していた。その証拠に、途中で人とすれ違ったかどうかさえ曖昧になっていた。

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P.S. Cooky写真きれいやね。

せっかくだし、もしこのブログ見てる人がいるのなら、対抗して投稿してみたらどうだ?

そもそも、返信で写真を投稿出来んのかしらん。

できるなら是非対抗して欲しいねw