顎先手術(オトガイ前進術)の副作用
顎の段差?2次角?
専門医がご説明致します

 

 

 

前回のブログに引き続きまして、

 

矯正手術後2週間経過後のレントゲンです。

 
 
下の写真では矢印で表示しました。

青色矢印が指すように
10mm前進させました。

プレートがとても長く伸びながら固定されています。

6mm以上前進させる時に使用するという特殊補強固定は
すみませんが私の個人的な方法なため
モザイク処理をいたしました。
 
 
下の写真で赤色矢印が指す部分がまさに
私が今日お話したい
2次角、顎の段差です。
 
骨切りした顎先が前へと出る時に生じる
どうしようもない現象です。
 
 
しかし
このような顎の段差である2次角
長期的に見た時、実際に問題になるのか
今日私がお話したい内容です。
 
 
下の写真でご覧いただけるように
手術後2週間目の時には確然に目につきます。
 
実はこんなにはっきり段差は見えたりしますが、
実際、機能的に問題が生じることはないということだけでなく

外見でもほとんど見えません

しかしよく触ってみると分かりますし、
またこのようにレントゲンにははっきり見えます。
 
 
それでは一生このように
2次角の顎の段差が見えるのでしょうか?
 

そうなってしまうんではないかと
この段差を削ったりもします。
 
 
 

 

 
上の写真で見えていた
2次角である顎の段差の
手術後、1年目に撮ったレントゲンです。
 

 
2週間目にあった顎の段差である2次角は
どうなりましたか?
 
下の写真に
青色矢印で10mm前進させた固定ピンを、
赤色矢印で2週間目の時に確然に見えていた
2次角である顎の段差を表示しました。

2次角の変化はいかがですか?
 
 
明確に小さくなりました。
 
 
 
よく頬骨や他の部位の骨の手術についてお話しする時、
手術がきちんとできていなかったら
骨吸収が起こるとお伝えしました。
 
このような骨吸収の原因
骨を維持するためには
栄養分と酸素が必要になりますが
骨膜の剥離と骨からの切断面によって
このような栄養分と酸素の供給に支障が生じ、
骨が溶けるようになります。

これが骨吸収です。
 
 
このように骨吸収
良くない現象
或いは副作用だとばかりに知られておりますが、
このようにオトガイ前進術の場合には役に立ちます。

つまり、
顎の段差が骨吸収され滑らかになり、
2次角がなくなるのです。

また骨の一部は生成されて
2次角がなくなる現象だけではなく
より滑らかなラインになったりもします。
 
私たちの体は本当に不思議ですよね~^^
 
 
(上の骨吸収または生成については、
造骨細胞、破骨細胞等の作用による現象ですが
理解しやすくするために簡略にご説明いたしました。
 
専門家や医師の先生方がこの説明をご覧になられたら
とても簡単に説明されすぎていて笑われるかもしれないです。)
 
 
下の写真をご覧いただくと
10mmも前進したのにも関わらず
2次角がほとんどなくなりました。

この程度なら外からも分かることはありません。

患者さんも当然何のコンプレインもありません。
 
 

 

 
 
上でお話した通り
顎先前進10mm後の
2週間目1年目の時の
2次角である顎の段差を
下の写真で比較してお見せします。
 
 
上の比較写真を見ると
顎の段差である2次角ができるのが怖くて
オトガイ前進骨切り術を受けられないというお話は
もうなされることはないかと思います。
 
 

もう一度お伝えしますが、
上の写真は加工ではありません!!!
 

変化する様相を動画でお見せ致します。

 



 

 

 
 
 
 
違う角度からも2次角変化をご覧ください。
 

パノラマ写真です。

まず、顎先を前進させる前のパノラマ写真です。
 
 

前進後2週間目の写真です。
 
 
 
 
下の写真で赤色矢印表示されているように
2次角である顎の段差がとても鮮明です。
 
電動のこぎりで切られた
非常に直線形のシャープな骨切り線が
そのまま見えます。

 

 
このような2次角である顎の段差をなくすために
raspという磨く器具を利用して削ったり、
時折T字骨切りと一緒にミニVラインといって
エラ削りはエラ削りですが、
長い曲線状のエラ削り手術ではなく
段差だけを無くす手術をしたりもします。
 
 
しかし
このように磨いて削ったり段差を切らなかった時に
どのような変化が生じるのか、
必ず磨いて削ったり、段差を切ったりしなければならないのか、
長期にわたって結果を確認してみてください。
 

1年後のパノラマ写真です。
 
 
 
 
下で赤色矢印が示しているように、
2次角である顎の段差がかなり小さくなった様子です。
 
2週間目からの写真と比較して見ると
より分かりやすいかと思います。
 
 

 

 
 

今日は
顎が後ろに下がっていたり、顎が小さい場合
顎先手術の中でも
顎先を前に出すオトガイ前進術後に発生する副作用
2次角、顎の段差長期的な追跡観察
ご紹介しました。
 
 
今日お見せしたケース、
1年経つと2次角である顎の段差が骨吸収によって
滑らかになるという内容でしたが、
もし2年経ったらどう変わるでしょうか?

より滑らかになることでしょう^^
 
 
ですので
顎先を前に出す時、
特に多い量、6mm以上を前進させる時に
2次角である顎の段差ができるから受けてはいけない
或いは安定性に問題が生じるからダメだという
誤った副作用の噂を信じられずに
安心して手術を受けても大丈夫だ
というお話でした。

併せて
巷ではT字骨切りオトガイ形成をすると
骨吸収が起き顎先が溶ける
という話がありますが
絶対にそうではありません。
 
 
ただ
顎先だけでなく、どの部分の骨であっても
骨切りして固定する時には
吸収されないために
必ず守らなければならない原則4つあります。
 
その4つに関しては
私が現在論文作成中ですので
論文が発表され次第、
ブログでご紹介させていただきます。
 
 
 
最近
顎先の骨切り方法が
T字骨切り、Y字骨切り、逆V字骨切りだけでなく
M字骨切り、W字骨切りなど…
 
おかしな骨切り法がたくさんあります。
 
 
この中にはしてはいけない方法もありますし
使用するにあたって適している安全な方法もあります。

私がこの場で
この方法はダメだとは言えませんので、
カウンセリングの時に正確にお伝えさせていただきます。
 
 
 
検証された安全な方法
安心して手術を受けられるようにしてください。