60年代のフェンダーアコG その2 | おんがく・えとせとら

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 60年代フェンダーのアコG。CBSに買収される以前の63年にスタートし,当初は他にもCLASSIC,FOLKというモデルが存在したようですが,画像等が見つかりません。
 以下,メイン・モデルを紹介します。デザインは,リッケンパッカーでも活躍したロジャー・ロスマイズル(Rodger Rossmeisl)。

◆キング/キングマン(King/Kingman)…63-71年
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 ドレッドノート・スタイルのキングは63年の発売ですが,66年にキングマンに名称変更され,バインディング付き指板,ブロック・ポジション・マークに変わります。側・裏板は標準がマホガニー,オプションでハカランダやローズもあったようです。
 ギブソンとは違った構造の金属製アジャスタブル・ブリッジが採用されています。

◆シェナンドー(Shenandoah)…65-71年
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 「BlueRidge Mountain,Shenandoah River~」とジョン・デンバーCOUNTRY ROADにも歌われた「シェナンドー」。語源はネイティヴ・アメリカンの「星々の美しい娘」。ウエストバージニア州を流れるシェナンドー川,シェナンドー渓谷にも因んだこのギターはキング/キングマンの12弦版として65年に発売。
 ヘッドは,エレクトリックXIIと同様のホッケー・スティック・タイプ。キング同様,66年にバインディング付き指板,ブロック・ポジション・マークに変更されます。
 写真右は69年製のアンティグア・フィニッシュ。ピックガートまで彩色されています。フェンダー独自のカラーやけど…ちょっと不細工?

◆ワイルドウッド(Wildwood)…66-70年
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 ワイルドウッドはキングマン/シェナンドーのスペシャルカラー版で66年の発売。ワイルドウッドはフェンダー独特のカラーで,材(本機はビーチウッド。ドラムのシェル等に使用)の生育時に緑や黒などの色水を吸わせ,導管に染み込ませて着色する。凝った趣向やけど,今見ると悪趣味。ヘッドも着色されており,トップのみスプルースのナチュラル仕上げ。
 このカラーはセミアコのコロナド・シリーズにも採用されており,同様に「WILDWOOD」の名前がついてます。

◆コンサート(Concert)…63-70年
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 63年,キングとともに最初に発売されたモデル。ボディは,上半身がドレッドノート,下半身はジャンボという風貌。
 写真は69年のカタログから。画像や詳細データが少なく、外見だけでは下記のパロミノとの違いがよくわからない。

◆パロミノ(Palomino)…68-70年
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 パロミノは馬の毛色を表す語らしい。新品の金貨の色。(そういえば,Golden Palomnosというグループもあったなあ。) Mustangもあるし,フェンダーは馬好きだったんや!

◆マリブ(Malibu)…65-70年
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 マリブは,アメリカ西海岸「来て来て来て来て~サンタモニカ~」の西にあるサーフィンで有名な町。パロミノより小振りなボディ。

◆ヴィレジャー(Villager)…65-71年
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 マリブの12弦版。ブリッジはシェナンドーと同じタイプ。

◆ニューボーター(Newporter)…65-71年
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 ニューポートは米ロードアイランド州にある海辺の町,映画「真夏の夜のジャズ」で有名なジャズ・フェスティバルや,ディランが初めてフォーク・ロックを演奏したフォーク・フェスティバルの開催地。
 このモデルはフェンダー・アコGの普及版で,ボディも前出のマリブよりさらに小振りになっています。
 65年発売当初はスプルース・トップだったものが,68年には側・裏板同様マホガニーに変更されます。右の70年製ではブリッジのデザインが変わってます。

◆リドンド(Redondo)…69-70年
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 リドンドという名前は全く馴染みがありませんが,これもカリフォルニアにある海辺の町の名のようです。60年代中期のサーフィン音楽台頭にあわせて,先のマリブ,ニューボーター同様,ウケを狙った名前をつけたのかもしれない。
 このモデルは,オール・マホガニーに仕様変更されたニューポーターの,スプルース・トップ版として発売されましたが,何の事はないニューポーターをオリジナルに戻しただけのこと。


 CBSフェンダーは,上記モデルにラップする形で、マーチン・タイプのデザインを踏襲した廉価な日本製アコG(Fシリーズ)を69年から投入して,70年には上記のオリジナルデザインを廃棄してしまいますが,会社全体は以降,長い暗黒時代に突入していくことになります。