第81回ゴールデングローブ賞で作品賞、主演女優賞を受賞した「哀れなるものたち | Searchlight Pictures Japan」を鑑賞しました。なお第96回全米アカデミー賞でも作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、脚色賞、美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞、編集賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、作曲賞といった堂々11部門にノミネートされています。(詳細はこちら)。
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哀れなるものたち | Searchlight Pictures Japan
概要:
「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンが再びタッグを組み、スコットランドの作家アラスター・グレイの同名ゴシック小説を映画化。2023年・第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で最高賞の金獅子賞を受賞し、第96回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、脚色賞ほか計11部門にノミネートされた。
不幸な若い女性ベラは自ら命を絶つが、風変わりな天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって自らの胎児の脳を移植され、奇跡的に蘇生する。「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられた彼女は、放蕩者の弁護士ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る。大人の体を持ちながら新生児の目線で世界を見つめるベラは時代の偏見から解放され、平等や自由を知り、驚くべき成長を遂げていく。
プロデューサーも務めるストーンが純粋無垢で自由奔放な主人公ベラを熱演し、天才外科医ゴッドウィンをウィレム・デフォー、弁護士ダンカンをマーク・ラファロが演じる。「女王陛下のお気に入り」「クルエラ」のトニー・マクナマラが脚本を担当。
2023年製作/142分/R18+/イギリス
原題:Poor Things
配給:ディズニー
劇場公開日:2024年1月26日
出典:哀れなるものたち : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)
キャスト:
ベラ・バクスター:エマ・ストーン
ダンカン・ウェダバーン:マーク・ラファロ
ゴドウィン・バクスター:ウィレム・デフォー
マックス・マッキャンドレス:ラミー・ユセフ
ハリー・アストレージェ:ロッド・カーマイケル
アルフィー・ブレシントン:クリストファー・アボット
トワネット:スージー・ベンバ
スワイニー:キャサリン・ハンター
プリム夫人:ビッキー・ペッパーダイン
フェリシティ:マーガレット・クアリー
マーサ・フォン・カーツロック:ハンナ・シグラ
出典:哀れなるものたち : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)
感想
約3時間。ラストでは納得感というかカタルシス。さすが「女王陛下のお気に入り」 のヨルゴス・ランティモス監督。
ですが、
前半は目をそむけたくなるシーン(解剖、性行為など)が多くて、正視できませんでした。「この役を引き受けたエマ・ストーンすごい」と思ったら、自身でプロデュースしているんですね…。やらされ感がまったくありません。天才外科医役のウィレム・デフォーのマッドサイエンストぶりが21世紀のフランケンシュタイン映画をみているようです。
ネタバレです
ルネサンス期に描かれた「ホムンクルス」、19世紀~20世紀に書かれた「ピノキオ」や「フランケンシュタイン」といった神の領域に立ち入った話です。自殺した臨月の女性(後にヴィクトリアという名前だったことが判明)の生きている胎児を取り出し、その胎児の脳を移植された女性のお話です。
胎児の脳が成熟した女性の体で生きているのですから、生殖が第一優先。そんな彼女が、「世界を見たい」という欲望にかられます。
「ピノキオ」でいうところのゼペットである外科医のゴドウィン(以降ゴッド)はそれを拒みますが、弁護士のダンカンに性的にそそのかされて、ベラと名付けられた女性はロンドンから旅に出ます。
リスボン:
映画はこのあたりからカラーになります。
美しい世界の中でダンカンと性行為に明け暮れるベラ。でも振る舞いは赤裸々で、ダンカンはいつも困る羽目に。
未発達なベラが踊るシーンは圧巻
ここで「ビクトリア」と呼ぶ人がいて、最後の伏線になります。
豪華客船
手に負えなくなったダンカンが、彼女をだまして連れてきたのは豪華客船。そこでベラは一人の老婦人マーサに出会います。性行為が第一優先のベラとは対照的に夫人は微笑んで「20年もご無沙汰よ」と。そして、本を読むことを勧めます。
アテネ
「世界を知りたい」と切望するベラ。老婦人の連れハリーが連れてきたのはアテネ。そして、ベラは大勢の人死に瀕しているのを見ます。ここでベラは自分のやるべきことの天啓を受けたようで、エマ・ストーンの表情が印象的。
酔いつぶれたダンカンが知らない間にダンカンの財産を集めて、船員に困っている人に渡してくれるように頼みます。そして、ダンカンはなんと文無しになります。身から出た錆なんですが、ダンカンはベラを責めてしまうんですね。
パリ
文無しの二人がおろされたのは極寒のパリ。ベラはゴッドが持たせてくれたお金をダンカンにとられ、娼館で日銭を稼ぐようになります。生まれ持った美貌と機知によって、だんだん売れっ子に…。(目を背けたくなるシーンのオンパレードです…)
ロンドン
ゴッド博士はダンカンからベラの居場所を聞いて、「ゴッド臨終」という手紙をベラに送ります。ベラは真実を知り、当初約束していた婚約者と結婚を決意。
ところが誓いを立てるところで、ダンカンがベラの正体をつきとめ、夫であるブレシントン将軍を連れてきます。ベラは自分の母が自殺しようとした理由を知りたかったのでしょう。結婚式を放りだして、将軍の城に出向きます。将軍が小心者にもかかわらず傲慢な嫌な男で、いつも銃をもって召使を脅しています。将軍の言動や目下の者に対するパワハラを見て。ベラはヴィクトリアに戻ることはやめようとします。
将軍の城から脱出する際、小心者の将軍は自分で自分を撃ってしまいます。ベラはゴッド博士のところに戻り、瀕死のブレシントン将軍にはヤギの脳を移植してしまうのです。
その後、娼館の友達とともに、医者になるべく自分の道を切り開いていくのでした。
「フランケンシュタイン」のようなファンタジーが好きな人にはお勧めの映画です。ダリの絵を思い出すような世界観、素敵でした〜。
3時間のうち40分くらいはスクリーンから目を背けていましたが…。
※この記事の画像は各国のマスコミのIGアカウントからお借りしました。