Every day's blues

角田光代著


「真昼の花」と「地上八階の海」の2編

「真昼の花」は熱帯の国を旅するバックパッカーの私が、ほとんど無一文になり、日本企業の前で物乞いのようなことをしても、日本に戻る気にならない心情。わかる気がします。旅の途中で知り合い、ルームシェアした日本人男性、その男性を追って私も旅を続けるが、その男性が病気になり、死さえ意識しはじめる私の不安、孤独、家族への思いなど、丁寧に描かれた小品です。解説読む前までこの「私」は男だとばっかり思ってた。「私」はこの小説で男2人とセックスするが、男同士でも何も問題ない。実際男でも女でも、この小説の味わいには変わりない。


「地上八階の海」は、電話番のアルバイトの私(女性)と、ちょっと離れた団地の8階に住む兄夫婦と同じ団地の1階の部屋に引越しした年老いた母の微妙な人間関係が面白い。大きな事件は何も起こらない日常の中のちょっとした出来事による心のゆらぎのようなものがよく出てます。