1980年(昭和55年)3月29日、広島県広島市南区に住む中学1年・藤倉紀代(きよ)さん(当時12歳)と弟の小学6年生・靖浩さん(当時11歳)が自宅から姿を消し、行方不明になった。

失踪当日の午後5時〜6時ごろ、母親は夜勤のためいつも通り子供たちの夕食を用意して自宅アパートから仕事に出かけた。母親が深夜2時ごろに帰宅すると、2人の姿がなかった。玄関には鍵がかかっており、母親の布団が敷かれ、夕食をとった後の食器が流しに運ばれているなど、いつもと変わった様子はなかった。2人は自宅の鍵を常に持っていたという。

2人とも特別に何かを持ち出したような形跡はなく、着ていたと思われる服装も普段外出する時の服装だった。所持金は小遣い程度と思われる。これまで自分たちだけで遠出したことはなく、姉の紀代さんは失踪翌日の30日に友達と遊ぶ約束をしていたという。

特定失踪者問題調査会が当時の居住地跡で家族から聞き取りを行うとともに地図等で周辺状況の確認を行ったところ、当時は警察が「誘拐」を視野に入れて自宅に電話の逆探知装置を設置したり、張り込んだということがなかったということが分かった。

当時は家出として報道されていたこと、また警察が200人を動員した旨の記事があったが、家族にそのような記憶はなく、警察は最初から「家出」と決め付けて実際に捜査が行われていなかった可能性がある。

当時の居住地は住宅街の中にあり、周辺には子供が夜間に買い物等に行ける場所もなかった。また当日は雨が降っていたが、傘を持っていないことなど、2人が自らの意志によって同時に失踪した可能性は極めて低いと思われる。

室内が荒らされた様子もなかったことからすると、何者かが言葉巧みに2人をおびき出した可能性もあるが、真相は現在も不明である。

紀代さんは昭和42年(1967年)4月29日生まれ。身長150センチ、体重38キロ。中学1年生に進級する直前だった。痩せ形で面長、色が黒い。失踪時は髪の毛を腰まで伸ばしており、服装はフード付きの紺色スモッグに白色セーターだった。

靖浩さんは昭和44年(1969年)3月13日生まれ。身長140センチ、体重30キロ。小学6年生に進級する直前だった。中肉で丸顔、色黒。失踪時は坊主頭をしており、プロ野球の阪急の帽子をかぶり、紺色ビニールのヤッケに同色のジーパン、白ズック姿だった。







2人は家庭に不満などなく、母親のことも大好きで大切に思っていた。


母親もこどもたちのことをとても愛していて、仲も良かった。


ゆえに家出の可能性はない。


その日の夜、何らかの理由があり靖浩くんは外へ出たがった。


こどもだけで夜、外に出る。もちろん悪い事だと思っていたが、仕方なく紀代さんはついていくことにした。


用が済み、家へ帰る途中で中年男性に話しかけられた。


2人もよく知っている、近所に住んでいるおじさんだった。


「2人で何をしているの?こんな時間にこどもだけでいたら危ないよ。車で送ってあげるからついてきて」


紀代さんはキッパリ断ったものの、靖浩くんはその誘いに乗ってしまう。


男性と靖浩くんが車に乗り込むと、なんだか無下に断るのも悪い気がして紀代さんも車に乗った。


知っている人だし、大丈夫だろう。ここでごねたらお母さんに告げ口されてしまうかも…。そんな思いもあった。


男性は2人を言いくるめ、ドライブと言いつつそのまま誘拐してしまった。


犯人の目的は性的ないたずらをすることだった。


自宅ではなく、離れた場所にも家を持っていてそこに2人を閉じ込めた。


しばらくの間2人は生きていたが、とても抜け出せるような場所ではなく


犯人は気が済むと2人を放置し、遠くへ引っ越してしまった。