2023年(令和5年)2月22日午前8時30分以降、富山県高岡市伏木矢田新町の大学3年生、山本啓太さん(当時21歳)が行方不明になった。

啓太さんはこの日午前8時半ごろ、自宅で母親と妹と一緒に朝食を食べたあと自分の部屋に入った。その後、午前11時に母親と妹が外出。15分後に母親が自宅に戻り、午後3時ごろに啓太さんの部屋をのぞいたところ、姿がなかったという。

啓太さんのスマートフォンや所持金は部屋に残されたままで、本人と連絡がとれないため啓太さんの父親が心当たりを探したが見つからず、警察に行方不明者届を提出した。

同日昼ごろに自宅の裏側に位置する二上山のアーチェリー場で啓太さんに似た人物を見たとの目撃情報があった。二上山は標高274メートルで、山本さん宅からアーチェリー場までは歩いて20分ほどの距離にある。啓太さんは普段からよく15分ほど自宅周辺を散歩していたという。





啓太さんは、家にいることがあまり好きではなかった。


家族に厳しく叱られることがあり、それが嫌だった。


色々思うことがあっても、叱られると萎縮してしまい、なかなか反論できなかった。


そのモヤモヤから逃れたくて、その日家を出た。


と言っても失踪などは考えてはいない。ただ家から離れ、頭を冷やす時間が欲しかっただけ。


叱られたこと、責められたことを思うと胸が苦しくなり、どんどん歩を進めた。


歩いていくうちに気が済んで、家に帰る。その日もそのつもりだった。


しかし不運な事故にあってしまい、身動きが取れなくなってしまう。


助けを呼ぼうにも、携帯を忘れてきてしまった。


ずいぶん山道を歩いてきたため、周りには誰もいない。


家族は悲しむだろう、こんなことになってしまい申し訳ないと思っている。


こんなことなら、もっと家族と話し合えばよかった。


思っていることをぶつければ良かった。


鬱陶しいと思っていたが、家族が自分を心配してくれていることは痛いほど分かっていた。


自分がもっとちゃんと自己主張できて、しっかりしていたら…。


後悔はあるものの、今は苦痛から解放され穏やかな気持ちでいる様子。