2000年(平成12年)9月29日午後1時ごろ、東京都のマンションの一室で女性が死んでいるのが発見された。26日から29日にかけて訪れていた国勢調査員が換気扇からの異臭に気付き管理人に報告したことから、遺体の存在が明らかになった。発見当時、部屋の鍵は開いたままだった。女性の首に絞められたような跡があった事から殺人事件として捜査を開始した。
司法解剖の結果、歯の治療痕などから女性はマンションの住人である漫画家・吉田陽子さん(当時28歳)と判明。死因は首を絞められたことによる窒息死だった。死後10日ほどたっていたとみられ、遺体は腐乱している状態だった。
室内に荒らされた様子はなく、部屋には現金300万円や財布や通帳、キャッシュカードが残されていたが手付かずの状態だったことから、警察は物取り目的ではなく、顔見知りによる犯行と断定した。室内からは9月18日付のコンビニエンスストアで買い物をした際のレシートが見つかっており、この日までは生存していたことが確認された。
犯人は仕事関係の中年男性。それなりに権限のある人物。
犯人は吉田さんに好意を持っていて、何度か言い寄ったものの全く相手にされなかった。
地位もお金もありプライドの高かった犯人は、全く媚びない吉田さんを疎ましく思い、憎むようになっていった。
吉田さんも、しつこい犯人に嫌気がさし困っていた。仕事の関係上縁を切ることもできず、犯人に会う度にうんざりしていた。
距離を置こうとする吉田さん。それを見て腹を立て怒る犯人。ますます嫌悪感が募り、関わりたくなくなる吉田さん…その悪循環だった。
いつしか犯人は吉田さんに辛く当たり、パワハラをするようになる。
吉田さんはそれを逆手に取り、今までのことを公にする覚悟があることを告げた。
犯人は激高した。
感情の赴くままに吉田さんに手をかけた。
時が経ち、犯人は年老いたもののまだ生きている。
容疑者リストに入っているものの、証拠がなく地位のある人物のため警察も手を出せずにいる。