2008年7月11日、千葉港で釣りをしていた男性が、停泊していたタンカーと岸壁の間に浮かぶマネキンのようなものを見つけ、警察に通報した。
現場に駆けつけた千葉県警の捜査員が引き上げると、それは無惨にも頭部や四肢を切断された女性の胴体だった。
9月、県警に寄せられた男性からの情報をもとに県警がDNA鑑定を行った結果、切断遺体は千葉市稲毛区山王町の無職、金子真由美さん(同30歳)と判明する。
彼女の生活は実に不可思議なものだった。家賃月約5万円の3DKの一室で50~60代の派遣労働者たち3人と同居。
しかし、知人(通報した男性)と呼べるのは1人だけで、他2人は部屋を分け合うだけの他人だった。
後の警察の調べで、この知人男性も、他に同居していた男性2人も事件とは無関係なことがわかっている。
いったい、金子さんはどんな暮らしをして、誰にバラバラにされたのか。ネットでは彼女が不特定多数の男性と関係を持つ風俗嬢で、金銭上のトラブルから殺されたとする推察もあるが、真相は定かではない。
真由美さんは新しい生活がしたかった。今やっている後ろめたい仕事を辞め、まっとうに生きていきたかった。
そのためにお金を貯めて、一人暮らしをしよう。資格でも取ろうか?そしていつか幸せな家庭を作れたら…そう夢見ていた。
しかし仕事関係の人間から見れば、それはただの裏切りだった。
今までのことをリセットして、真由美さんだけ普通の暮らしをすることが許せなかった。
その日、犯人は真由美さんを呼び出した。
新しい生活について応援するし、相談にも乗ると声をかけたのだ。
真由美さんは警戒したものの、少しの期待を持って犯人に会うことにした。
そして犯行が行われた。
実行犯は青年だが、背後には犯罪組織がいる。