1991年(平成3年)7月10日、鹿児島県曽於郡松山町(現在の志布志市松山町)を通る県道109号脇のサツマイモ畑でうつ伏せに倒れた男性の遺体を近くの農婦が発見した。男性の5メートル手前の草むらにはヘッドライトが壊れ、血の付いたオートバイが転倒していた。

10日深夜、遺体が発見された現場から約1キロ離れた町道に事故現場と見られる場所を発見した。血痕を消そうと上から多量の砂が撒かれていたのである。調査の結果、この血痕は遺体の血液型と一致するものと判明した。

男性は、遺体発見現場から約2キロ離れた場所に住む農業谷口忠美さん(56歳)と判明する。9日朝、家族に「畑に行ってくる」と告げて外出したまま帰宅していなかった。 7月9日夜、谷口さんはある女性と行動を共にしていた。谷口さんには妻子があったが、この女性と不倫関係にあった。

同月26日、捜査本部は「交通事故を装った殺人」事件と断定した。

鹿児島県警は延べ6万5千人の捜査員を投入したが2006年7月9日、殺人罪での公訴時効が成立し、コールドケースとなった。


犯人は谷口さんを恨んでいた男性。不倫相手の女性に対し、密かに想いを寄せていた。


女性が不倫に悩む度に、なんとかしてあげたいと強く思うようになっていた。


女性の方も、煮え切らない態度の谷口さんに業を煮やし、この関係を精算したいと思っていた。


「谷口さんがいなくなれば、あなたにもチャンスはあるのに」


甘い言葉で犯人を唆した。


ついに覚悟を決めた犯人は、谷口さんをさつがいするため、犯行現場で待ち伏せしていた。


時間や場所は事前に女性から聞いていたのだ。


景気づけにお酒を飲み、行動を起こした。


慣れない事態の連続と、お酒の酔いも回ったせいでかなり杜撰な犯行になってしまった。


全てが終わったあと、女性から連絡が来たものの


警察に疑われている間は会えないというものだった。


犯人も警察に打ち明けられてしまうことを恐れ、連絡を控えているうちに疎遠になってしまった。


その後犯人は精神を病み、後悔に苛まれている。