2009年11月6日、広島県の臥龍山で切断された人間の頭部が見つかる。DNA鑑定の結果、それは10月26日から行方不明になっていた女子大生、平岡都さんのものと判明した。
警察は延べ31万人の捜査員を投入するも、容疑者の特定すらできないまま7年の歳月が流れた。
ある時、もう一度不審車両の調査をしたところ、ひとりの怪しい男・矢野富栄が浮上する。彼のデジタルカメラを調べると、なんと犯行の記録が57枚の写真として残されていた。そして、矢野は遺体発見の2日後に事故死していることも判明した。

事故は平岡さんの遺体が発見された2日後、2009年11月8日午後3時過ぎで、現場にはブレーキ痕やスリップ痕もなかった。車はガードレール3カ所に衝突して炎上していた。
矢野は周囲に「墓参りに行く」といって母親と高速に乗り、そして2人とも事故死した。死因は車の炎上による焼死とされる。この日は遺体発見の2日後で、矢野は事件発覚に焦り自殺した可能性も高いとみられている。



その日、犯人は女性を物色しながらさまよっていた。


誰かに声をかけ、悪いことをしてやろうと企んでいた。


とは言えなかなか好みの女性が見つからない。あちこち行き来しながら探していると、やっと納得できる女性を見つけた。


「少し具合が悪くなってしまった、近くに停めてある車に薬があるんだ。一緒に来てくれないか」


そう声をかけ、平岡さんに介助されながら車へと向かう。


車までたどり着くと、犯人は本当に何かの薬(持病、または精神疾患のもの)を飲んだと思われる。


「具合が良くなったよ、ありがとう。お礼に家の近くまで送るよ」


平岡さんは何度も断ったものの、犯人がしつこかったため仕方なく乗ることにした。


ひとけのない場所まで連れ出すと、犯人は豹変。


薬の副作用も相まって、感情のコントロールが効かなくなり

そのままさつがいしてしまう。


犯人は興奮状態だったが、なんとかバレないよう隠蔽することにした。


上手くいったと思った。できる限りの事はしたし、普段通り生活しようとした。


しかし犯人の母にバレてしまう。


明らかに様子のおかしい息子を問いただすと、事件のことを打ち明けたのだ。


犯人は母が大好きで、頭の上がらない存在でもあった。


「一緒に警察署へ行くから、自首しよう」


そう言われ、犯人は観念した。


「その前に…父の墓参りに行きたい。捕まったらもう行けないかもしれないから。父にも謝りたい」


犯人が提案し、2人で墓参りへ行くことにした。


これは犯人の計画で、自首する気はさらさらなく


自分が捕まったら、大好きな母は一生後ろ指さされて生きるのだろう。


これまでもたくさん苦労かけたのに、息子がさつじん犯だなんて

今までの比ではないほど辛い生活になるだろう。


そうなるくらいなら…と、事故に見せかけて心中した。


母もなんとなく気づいてはいたが、大人しく息子に従った。