警察は延べ31万人の捜査員を投入するも、容疑者の特定すらできないまま7年の歳月が流れた。
ある時、もう一度不審車両の調査をしたところ、ひとりの怪しい男・矢野富栄が浮上する。彼のデジタルカメラを調べると、なんと犯行の記録が57枚の写真として残されていた。そして、矢野は遺体発見の2日後に事故死していることも判明した。
その日、犯人は女性を物色しながらさまよっていた。
誰かに声をかけ、悪いことをしてやろうと企んでいた。
とは言えなかなか好みの女性が見つからない。あちこち行き来しながら探していると、やっと納得できる女性を見つけた。
「少し具合が悪くなってしまった、近くに停めてある車に薬があるんだ。一緒に来てくれないか」
そう声をかけ、平岡さんに介助されながら車へと向かう。
車までたどり着くと、犯人は本当に何かの薬(持病、または精神疾患のもの)を飲んだと思われる。
「具合が良くなったよ、ありがとう。お礼に家の近くまで送るよ」
平岡さんは何度も断ったものの、犯人がしつこかったため仕方なく乗ることにした。
ひとけのない場所まで連れ出すと、犯人は豹変。
薬の副作用も相まって、感情のコントロールが効かなくなり
そのままさつがいしてしまう。
犯人は興奮状態だったが、なんとかバレないよう隠蔽することにした。
上手くいったと思った。できる限りの事はしたし、普段通り生活しようとした。
しかし犯人の母にバレてしまう。
明らかに様子のおかしい息子を問いただすと、事件のことを打ち明けたのだ。
犯人は母が大好きで、頭の上がらない存在でもあった。
「一緒に警察署へ行くから、自首しよう」
そう言われ、犯人は観念した。
「その前に…父の墓参りに行きたい。捕まったらもう行けないかもしれないから。父にも謝りたい」
犯人が提案し、2人で墓参りへ行くことにした。
これは犯人の計画で、自首する気はさらさらなく
自分が捕まったら、大好きな母は一生後ろ指さされて生きるのだろう。
これまでもたくさん苦労かけたのに、息子がさつじん犯だなんて
今までの比ではないほど辛い生活になるだろう。
そうなるくらいなら…と、事故に見せかけて心中した。
母もなんとなく気づいてはいたが、大人しく息子に従った。