1984年(昭和59年)9月24日早朝、広島県大竹市の高校3年生・花田昭博さん(当時18歳)が自宅を出たまま行方不明になった。

失踪当日は学校が休みだったため、花田さんは自宅のテーブルの上に「釣りに行きます」との書置きを残し、朝5時〜6時ごろ家を出た。花田さんは自宅を留守にする時には必ず書き置きを残していたという。

1週間後、自宅から33キロ離れた山口県の大島大橋(山口県柳井市と大島郡周防大島町間の大畠瀬戸に架かる橋)に花田さんの自転車と釣り竿が放置されていることが分かった。餌箱なども持って出たと思われるが、見つからなかった。自転車が置かれていたのは長い橋の真ん中付近で、花田さんの自宅からは車で約1時間、自転車で3〜4時間かかる。



拉致の可能性が高い。


犯人たちは花田さんを見かけ、こっそりと尾行していた。


花田さんはそんな不審な人物に気づき、急いで逃げようとしたが捕まってしまう。


大人しくしていればころさないから、静かにしろ。


そう言われたものの

冗談じゃない、こんなところで捕まってたまるか!


花田さんは激しく抵抗し、犯人たちと格闘した。


それでも刃物を突きつけられると、大人しくする他なかった。


攫われてからかなりの距離を移動していることがわかった。


もう家族の元に帰れない。花田さんはそう確信した。


それならば生きていく道を探すしかない。


覚悟を決め、連れられた場所で自分に出来ることを精一杯頑張った。


色々辛い思いはしたが、今は安らかな生活を送っている。