2001年9月24日、広島県安芸郡府中町のマンションに住む田辺信子さんが失踪した。当日は友人と食事に行く約束をしており、その友人は信子さんと電話で連絡を取り合っていたのだが、途中で悲鳴のような声が聞こえたかと思うと、以後連絡がつかなくなってしまった。信子さんは何らかの事件にあった可能性がある。 

 失踪から数日後には不倫による失踪を匂わせる手紙が届くが、その手紙はワープロ打ちで、内容にも不可解な点が多い。信子さんは本当に自発的に失踪したのだろうか。 



若い男性が起こした、お金目当てのさつじん事件。


田辺さんの家が裕福だと知っていた犯人は、ついにその日行動を起こした。


家に行き、インターホンを鳴らすと田辺さんが応答した。


なにかの点検をすると騙り、部屋に上がり込む犯人。


田辺さんは全く疑っていなかった。


犯人は世間話などしながら、部屋を物色して回ったもののあまり成果は得られなかった。


せっかくここまで来たのに、手ぶらで帰りたくない。


貴重品がありそうな場所を、点検を装いながら慎重に見て回る。


その行動を見ているうちに、田辺さんはだんだん不審に感じ始めた。


この人は本当に点検の人だろうか?点検のお知らせなど来ていなかったし、家にあげたのは間違いだったかもしれない…


田辺さんは誰かに連絡しようと、こっそり携帯に手を伸ばした。


それに気付いた犯人は、素早く田辺さんに掴みかかる。


何も盗んでいないのに、こんなとこで捕まりたくない!


自然と力が入り、無我夢中で押さえつけた。


どれくらい時間が経ったのか…気づくと田辺さんは倒れていた。


犯人は心底驚いた。


軽い気持ちで起こした行動で、まさか人をころしてしまうなんて。


お金さえ手に入ればそれで良かったのに、まだ何も盗んでいないのに。


これからどうしようか途方に暮れていたのもつかの間、このままではすぐ誰かに犯行がバレてしまう。


そこからは早かった。


田辺さんを運び出し、誰にも見つからない場所へ隠した。


今でも犯人は後悔に苛まれ苦しんでいる。