鶴 ーTSURUー
BLENDED WHISKY

 

余市、宮城峡各蒸留所限定

 
産地:日本
原料:モルト、グレーン
容量:15ml
アルコール:43%
樽構成:不明
希望小売価格:700ml / 14000円
 
 
色:赤褐色
トップノート:3
アタック:2
香り:ゆり、メロン、ハチミツ、クルミ、リコリス
味わい:ハチミツ、モルティ、シェリー渋み、スパイシー
アルコール感:2
ピート感:1
 
 
 
総評:3.3 / 5
 
 
 
■ ブレンデッドウイスキー「鶴」について
 
ニッカウヰスキーで一番謎のウイスキーが、ニッカブレンデッドウイスキーの最高峰と言われる「鶴」なんですね。
玄人の方にとっては勝手知ったる商品なのかもしれませんが、昨今のノンエイジ時代にウイスキーを知りだした自分としては謎なんですよね。サントリー「響」のようにシリーズ立てて商品化されていれば別なんでしょうけど、「鶴」に限っては蒸留所限定販売の上、ホームページすらないので商品情報が一切分からないのが現状です。売ってるのに公式情報が無い商品になります。
しかしながらニッカウヰスキー原酒は余市、宮城峡、ベンネヴィスなのでこれで構成されたウイスキーなのは確かですね。
 
「鶴」は竹鶴政孝の遺作で1976年(昭和51年)に販売されました。竹鶴政孝は1979年に逝去されています。
発売当初は時代もあってアルコール度数43%の特級表記で、鶴を模したような細く白い陶器ボトルでした。
 
※画像は公式ホームページから
 
「鶴」の文字は竹鶴政孝の息子で2代目ブレンダーの竹鶴威によるもので右端に落款が押されています。
ちなみに「鶴」のつくりの部分が↓習字体をみると通常と違い「うかんむり」なのが分かりますね。
これは異体字と言われるもので旧字ではありません。
異体字自体は使っても構わないらしいですが、PCで変換されないので通常は避けたほうが無難でしょうかね。
 
 
※画像は公式ホームページから
 
↑この画像は2012年にISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)で見事金賞を受賞した商品になります。
この頃の欧州輸出量は2011年に比べて125%増、2011年は2010年に比べて160%増。
2006年は1800箱だったのに対して、2011年は25500箱でした。(1箱700mlx12)
これが年々増していくわけですので原酒不足に陥ることは目に見えていたわけですね。
しかし歴史を見ればウイスキー人気には波があったので、なかなか時勢を読むことが難しかったんでしょうね。
 
 
 
■ テイスティングノート
 
香り立ちはユリのようなフローラル香。
甘み複雑にメロンのようなメロウな芳香。
芳醇によりクリーミーさもあり、クルミオイルのようなオイリー質。
ドライに樽由来のリコリス香が漂います。熟成も相まってアタックは和らいでますね。
残り香も芳ばしい樽香が漂います。
 
味わいは口当たり滑らかにファーストタッチはレーズンの甘み。
カルダモンのようなさっぱりしたスパイシーさが中盤から押し寄せ余韻まで長く残ります。
喉を温めるように熟成が高く芳醇な味わいが醸されています。
コクも十分感じながらのフィニッシュに至ります。
 
 
 
■ ブレンデッドウイスキー「鶴」の考察
 
「鶴17年」が終売して2016年にノンエイジとなり蒸留所限定商品となった「鶴」は、それでもニッカウヰスキーブレンデッドウイスキーブランドの最高級に位置付けられた商品です。
それを考えると確実に17年のエイジング原酒は使用されているとみるのが自然でしょうかね。
しかし実食で感じたのは「ザニッカ12年」に匹敵する芳醇さが高く漂ってこなかった部分が評価点になったと思います。
それほど若い原酒に頼ったブレンディングなんだろうと感じました。
サイレントスピリッツのグレーン原酒比率が高いかもしれませんが、カフェシリーズを単体で飲むよりも芳醇さやボディのバランスは非常に高いものがありました。
味わえばわかりますが、ノンエイジ鶴は熟成度合いで魅せれない分、スパイシーさで他に差をつけたウイスキーなのかなと思います。機会があれば「鶴17年」を飲んでみたいと思いました。