FourRoses
BOURBON
KENTUCKY STRAIGHT BOURBON WHISKEY
 
産地:アメリカ合衆国 ケンタッキー州
原料:グレーン、モルト
容量:700ml
アルコール:40%
市場小売価格:1380円
 
 
総評:3.5
 
 
色:琥珀色
トップノート:4
アタック:2
香り:溶剤、木材、アーモンド、バニラ、ペッパー
味わい:溶剤、木材、バニラ、スパイシー
アルコール感:3
ピート感:3
 
 
 
■ フォアローゼズについて
 
『バーボン』の成り立ちは1700年代後期にブランド銘柄でお馴染みの、エヴァン・ウイリアムスやエライジャ・クレイグが始祖と言われています。そしてフォアローゼズはそれらより100年くらい遅れて、1888年の創業になります。しかもこのころのアメリカはすでに800もの蒸留所があったみたいです。
 
1865年に4年にも及んだ南北戦争が終わり、勝利を収めた北部の資本がケンタッキー州に流れ込んだわけですよね。
フォアローゼズもその同じ流れを汲んだ企業といえるってことでしょうか。
とはいえ、創業者のポール・ジョーンズ氏はジョージア州アトランタの南部出身で、ケンタッキー州のルイビルに移住してローレンスバーグにてフォアローゼズを興したといわれています。
 
 
当時は禁酒法やウイスキーの人気の低迷が拍車となり、ケンタッキー州にピーク時には200あった蒸留所も12蒸留所まで減っていきました。今では近年稀に見るウイスキーブームも相まってクラフト系蒸留所がかなり増えてるみたいですね。
 
 
 
■ 実は「フォアローゼズ」の出自はあいまい?
 
2001年にキリンビール株式会社の子会社となった「フォアローゼズ」は、
ボトル裏ラベルに記載されている出自が公式にありますが、
実はよく分かっていないとWikipediaのフォアローゼズの項に書いてありました。
こうも書いてあります、
「 フォア・ローゼズ(Four Roses、四つの薔薇)の由来は、創業者の Rufus Mathewson Rose と、その兄弟と、二人の息子の4名の Rose によると推測されているが、他にも諸説があり、明らかでない。 」
しかし、ルーファス・M・ローズ氏の蒸留所はジョージア州ディラードにあり、1867年創業。今でもR.M.ROSESとしてウイスキーが販売されています。
 
 
 

▼ポール・ジョーンズ氏とメーカーの動向

1865年 ジョージア州でウイスキー製造

1866年 ケンタッキー州ルイビルに転居し「フォアローゼズ」を買収

1888年 「フォアローゼズ」を商標登録

1889年 JGマッティングリー社を買収

1895年 ジョーンズ氏死去  (Find a Grave®墓石名鑑に記載、墓石写真あり)

1905年 ジョーンズ氏死去  (Whisky-Me等に記載)

1922年 フランクフォート蒸留所を買収(医療目的で酒類製造が許可されていたため)

1943年 カナダシーグラムが同蒸留所を合併

●ポール・ジョーンズ氏はウイスキーを製造する傍ら、M&Aの企業戦略家の一面があり、「フォアローゼズ」ブランドが同時に存在していたというアメリカのネット情報を踏まえると、ローズ氏の「フォアローゼズ」を買収したという結果に納得は出来ますが、身売りしたとの情報もあります。

 

 

※本国公式HPに1895年死去と記載されてました。

 

 

 

 

 

 

 

▼ルーファス・M・ローズ氏の動向

1867年 ジョージア州バイニングスにてR.M.ローズ蒸留所を設立

1888年 「フォアローゼズ」ブランド設立

1901年 ジョージア州ソノにローズ邸建設(のちに国家歴史登録財)

1907年 親族4人のローズの名称で「フォアローゼズ」を商標登録

1913年 シーグラムに売却

1916年以降 ポール・ジョーンズ・ディスティリング社に売却

 

 

※赤は米ウィキ、ローズ氏の項に記載

※緑はアトランタ市の公式ホームページに記載

※青は pre-pro.com データベースに記載

●ローズ氏の動向年数がちょいちょいジョーンズ氏の動向年数とズレが生じているため整合性が取れない部分があります。

しかしアトランタ市の公的資料は登記関係と思われるのでおそらくこれが史実ベースだろうと思われます。

 
 
 
「フォアローゼズ」の命名事案は4つある
 
  1. 公式にあるポール・ジョーンズ氏の「4つ薔薇のコサージュ」の美談。ジョーンズ氏は生涯独身らしいですが、ケンタッキー州ルイビルはちょうどサザンベル文化の真っ只中なので、史実の美談というよりは、「ビクトリア朝の花言葉」の秘密の言語として、花の色と数で返答する風習をそのままメーカーのブランド由来に当てはめた可能性もある。その風習には差出人が2本の花を送り、返答に3本の花なら拒否、4本の花なら受理というもの。赤い花は愛を意味し、薔薇は情熱を意味する。
  2. そして1の逆パターンで、ポール・ジョーンズ氏は求愛のOKサインとして「4つの薔薇のコサージュ」を付けるよう求めたが拒否されたため、愛の失敗を忘れないように、または永遠に不変の味わいのウイスキーは自身の愛と同義であるとして「フォアローゼズ」と戒め的に名付けたというもの。
  3. 創業者ルーファス・M・ローズ氏の4人の娘が舞踏会に参加のため、薔薇のコサージュを付けて階段に並んだ4人の姿を見て誇らしく思ったから「フォアローゼズ」と命名したというもの。(子供は娘2人、息子1人とも)この話の出どころはフォアローゼズのオールドボトルの裏ラベルに4人の娘の話が実際に記載されていた。
  4. ローズ氏と弟と子供2人の親族フォーローズから命名したというもの。
  5. ポール氏の美談の相手は『3』の娘説。
 
 
何だかかなりごちゃごちゃになってきましたが、「WHISKY ME」というサイトに『フォアローゼズ』について記述がありますので、こちらで要約して記載したいと思いますが、HPの規約には情報の正確性についての保証と責任は負わないとありますので参考までに。

 

 

ジョーンズは南北戦争に兄と参戦したが、兄は戦死。1965年の終戦後に家に戻ったものの焼き野原だったため、父親とアトランタに移住し、ルーファス・ローズのもとでセールスマンとして従事。ローズはアトランタに移住し1867年にウイスキー製造の「ハウスオブローズ」社を立ち上げた。同時期にバイニングスには新たに蒸留所を設立した。そのころジョージア州は禁酒法案の制定を模索し始め、1884年から徐々に策定させていった。その制定を知ったジョーンズはケンタッキー州ルイビルに移住した。ローズは1906年に新レシピを考案し「フォアローゼズ」が誕生。翌年ジョージア州での在庫がなくなった頃合いを見て、ローズ蒸留所をテネシー州チャタヌーガに移住した。一方ケンタッキーに移住していたジョーンズは1889年にJGマッティングリー社の蒸留所を購入していた。ジョーンズは1905年に死去(実際は1895年)。会社は甥のラヴェル・ジョーンズが引き継いだ。1910年にテネシー州も禁酒法を制定したためローズ蒸留所は経営不振に見舞われた。そのためローズの息子ランドルフは、「フォアローゼズ」をジョーンズ家に売却。ラヴェルは1912年にオールド・プレンティス蒸留所を買収し、これが現在のフォアローゼズ蒸留所である。

 

このサイトの冒頭にも書いてあるように相当複雑かつ真相が不明瞭なメーカーであり、本国の色んなブロガーが考察しています。

 

 

 

■ 日本のキリンビールがオーナーに

 

ここまでいろいろと調べましたが、色んな記事や情報を見ているとカナダシーグラムに買収された期間は暗黒期とみている人が多かったことです。ご存知、シーグラムはフォーローゼズの好調だったアメリカ販売を突如止め、ブレンデッドウイスキーとして売り出したみたいですね。バーボン表記は無くなり、商品のほとんどはインディアナ州のシーグラム蒸留所で生産していたみたいです。フォアローゼズ蒸留所のバーボンは少量ながらも生産は継続し、スペインと日本のみの販売になりここで日本での人気を獲得したみたいですね。

シーグラムがバーボンから撤退すると2001年12月にキリンビールが買収に名乗りを上げ、すでに卸したブレンデッドウイスキーの回収に走ったみたいです。いわゆるアメリカ人は好き勝手やったシーグラムに怒っていたということみたいです。

その後キリンは設備投資をするだけで、伝統のレシピなどはフォアローゼズ蒸留所のスタッフに委ねたことで感謝されているなど、買収に満足しているなどという文言をちらほら見かけました。

この新生フォアローゼズの騒動には名ブレンダーでバーボン殿堂入りを果たしているジム・ラトリッジが奔走しました。

そして一からの立て直しを約7年かけて図ったみたいですね。

その後多種多様のフレーバーレシピをアル・ヤングと共に造っていったわけです。

ちなみにアルも殿堂入りを果たしています。

 
 
 
■ フォアローゼズ イエローラベル
 
このフォアローゼズのスタンダード品はファンの間では、黄色のラベルから「イエローラベル」と呼ばれているそうです。
フォアローゼズのウイスキー造りは、他のウイスキーメーカーと違って10種類のフレーバーの異なる原酒レシピを混合させて作るみたいです。原料から瓶詰に至る過程や詳細な原酒レシピさえHPに記載されてるのが好感を持てますね。
 

※本国ホームページから切り取り

 

この表めちゃくちゃ「粋」ですよね!!!

どのフレーバーのレシピか分かるし、製造工程すべて自社完結してるからこそ出来る業でもありますね。

日本のメーカーにも見習ってほしいかも。

 
 
 
■ テイスティングノート
 
香りはバーボン特有のケミカルな香りやホワイトオーク樽由来の木材のエキス感がアーモンド香としてトップノートに現れます。
奥にはバニラの甘さが立ち込め、木材からくるペッパーのようなスパイス香が抜けていきます。
 
味わいは香りにも現れたバーボン特有のケミカルさが味わいにもそのまま感じられます。
木材のスパイシーさやピート系の苦味などバニラの甘さも相まったバランスが感じられます。
余韻にまで残るスパイシーさは非常に心地よい飲みごたえです。
 
 
 
■   イエローラベルの考察
 
非常に珍しいんですが、香り立ちと味わいがここまでマッチしてるウイスキーは今まで飲んだことがないですね。
しかも苦手な人も多くいる「バーボン感」はちゃんとするのに、嫌味が全くない感じは40%まで加水したお陰でしょうか。
なんだか胸が張れる大人のお酒を飲んだようで、満足感がありますね。
 
ちなみにウイスキーを一緒に買いに行ってくれた先輩はこのフォアローゼズしか飲みません。山崎が定価で売ってたのに目もくれてませんでした笑
で、これを「飲みな」と買ってくれました。ウイスキー先輩!かっこいいぜ!!