SUNTORY
WORLD WHISKY
碧 ―Ao―
A BLEND OF FIVE MAJOR WHISKIES
IRISH、SCOTCH、AMERICAN、CANADIAN
and JAPANESE WHISKIES
 
産地:世界5ヵ国
原料:モルト、グレーン
容量:700ml
アルコール:43%
希望小売価格:5000円
 
 
総評:2.3
 
 
色:琥珀色
トップノート:3
アタック:4
香り:スモーク、ハチミツ、リコリス、レザー、リリィフローラル、ウッディ
味わい:シルキー、ハチミツ、リコリス、スパイシー
アルコール感:2.5
ピート感:2.5
*数字は強さの程度を表しています。
 
 
 
■ 世界5大ウイスキー
 
サントリー< 碧Ao >は2019年4月16日にリリースされたブレンデッドウイスキーになります。スーパーなどどこでも売られていますので、ウイスキー好きで知らない人はいないと思います。
 
サントリーが2014年にジムビーム社と合併したことにより、ビームサントリー社が発足。その事により世界第3位のスピリッツメーカーが誕生したわけですが、その時から世界5大ウイスキー原酒を使用したブレンド話が談笑程度にもあったみたいですね。
 
世界5大ウイスキーとは「 アイルランド、スコットランド、アメリカ、カナダ、日本 」が産地とされるウイスキーを差します。
 
 
 
■ アイルランド・スコットランド
 
アイルランドとスコットランドは共にウイスキーの発祥国であり、ウイスキーの歴史は世界で一番の古さを誇ります。
アイルランドの1172年ウスケボー説、スコットランドの1494年アクアヴィテ説の発祥論争が有名ですね。
 
 
 
■ アメリカ・カナダ
 
アメリカとカナダは移民の国ですので、18世紀初頭に入植してきたアイルランド人とスコットランド人が麦農園を営み、ウイスキーづくりを始めたみたいです。
米独立戦争終結後の1791年にワシントン大統領がウイスキーに課税したことによりアイリッシュスコッチ暴動が勃発。それらを察知していた一部の酒造者たちは、1776年にはいち早くカナダへ移住しウイスキーを製造したみたいですね。
1863年に奴隷解放を目指したリンカーン大統領が南北戦争に勝利すると、出身地のケンタッキー州に資本が集まりバーボン製造企業が数多誕生。1920年には米禁酒法が本制定され、酒造メーカーはカナダに移住しアメリカ国境付近に企業を構えた経緯になります。
 
 
 
■ ジャパニーズ
 
日本はというと上記の4か国に比べて圧倒的に歴史が浅いですが、でももうウイスキー本格製造から100年という歳月が経とうとしています。サントリーとニッカの功績が光りますね。
しかし、60年代70年代と日本のウイスキーは様々な国に輸出していたものの、本場4か国にはジャパニーズウイスキーの認識は相当低かったとされています。
ちゃんとしたウイスキーを造ってると知られたのは、なんと2001年のスピリッツコンテストで「余市10年」がシングルカスク部門で総合1位を獲得してかららしいですね。トロフィーって大事なんですね。
 
 
理「国民に夢を与える、あるいは世界一で夢を与えるのがロマンです」
蓮「分かります。否定はしていません。2位じゃダメなんでしょうか?」
理「世界一になるにはあと700億円必要です」
蓮「予算超過100億もあってさらにロマンに700億くれってですか。失敗のリスクは?」
理「世界一の研究には世界一の装置。すなわちロマンです」
蓮「分かったって!中米と順位が団子状態ですぐ追い抜かれる技術が必要かってことで、むしろハードを共有しソフト面でのロマンの共有も視野に入れるべきでは?」
文「ロマンは競争関係ですのでマクロ経済モデルだと3.4兆円の経済効果が見込めます」
蓮「なるほど失敗できませんね。ではリスクヘッジはどうお考えですか?」
文理「・・・・・。」
蓮「ギャンブルに700億くれってか!?」
サントリー「世界5か国を制圧してロマンの共有が可能になりました」
文理蓮「さすがです!!」
 
 
こんな感じでしたっけ?議事録が探せなかったので面白くパロれなかったです笑
 
 
 
■ サントリー<碧Ao>について
 
<碧Ao>の開発を指揮したのはサントリー5代目チーフブレンダーの福與伸二(フクヨシンジ)氏です。めちゃくちゃ有名な方ですよね。公式ホームページに開発秘話が紹介されていますが、ブレンダーのプロである福與氏でさえ完成の想像がつかないとされるほど難しかったと回顧しています。ちょうど100番目のレシピが<碧Ao>の原型として採用され完成を迎えます。しかしそこに至るまで1年半という歳月を費やしたみたいです。
 

*画像は公式ホームページから
 
ボトルデザインの原案は100通りにも及んだらしいです。何か「100」がキーワードって気がしますね。
やっぱり最終案のボトルがめちゃくちゃカッコいいですね!
 
青いラベルは世界を繋ぐ海の青から。
ボトル形状の5角形は世界5か国から。
 
『Ao』の墨文字はサントリーお馴染みの書家・荻原丹雪氏によるものです。
荻原丹雪氏の作品と言えば「響、知多、六、翠、白、大隅、天然水、Ao」の8商品でしょうかね。
こうして見るとどれもキャラクターを分かりやすく際立てた文字に仕上げてるのが分かります。
ちなみに「山崎、白州」の墨文字は、サントリー2代目社長の佐治敬三氏によります。鳥井信治郎氏の次男ですね。
 
 
 
*画像は全て公式ホームページから
 
 
 
■ テイスティングノート
 
香りは全体的にスモーキーさが立ち、はちみつようの甘さ、奥にリコリスやレザーのような苦み、時間が経つと芳ばしい樽香がします。
味わいは口当たり滑らかで、ハチミツのような甘み、樽由来の苦みを伴うリコリス香と共にスモーキーさも鼻に抜けます。余韻の甘さは弱く、スパイシーさもほどよく唇を痺れさせます。
 
 
 
■ 考察と後述
 
おそらく<碧Ao>のポイントは、バーボン色強めのスパイシーさとスコッチ由来の香りのリコリス香がメインテイストになると思われます。ですが、日本人的にはドライでネガティブな味わいに伝わるかなと思いました。
 
スモークはスコッチ、ハチミツはアメリカンに由来すると思われます。
ちゃんとその特色を出そうとブレンドした努力は出ています。
しかしネガティブ要素のリコリス香は、リフィル樽とそして若い原酒が多用された香味なのかなと思いました。
ある程度の飲みやすさは、グレーン由来の知多やカナディアンウイスキーに助けられてると思いました。
そして余韻のキレある見事なスパイシーさはブレンダーの腕なんだと思います。
実際に<碧Ao>で魅せたかった味わいはこの『キレ味』なのかなと推察しました。
 
正直、5大ウイスキーを所有してそれらをブレンドしたのなら、ブレンド比や樽構成を細かく公開された方がいいのではないかと思います。それは<碧Ao>への考察を的確に見ようとする客観的な指向性(何がしたいのか)や、ウイスキー造詣の主観的志向性(味わいの実感)も増して、お酒の中でも嗜好性(収集や嗜み)の高い代物であるから、人生のたしなみもひとしおの至高性(語らいと流伝)が得られるものだと思います。
 
要は、詳細非公開でもウイスキーは科学的に分かってない部分があるから、推察しながら複雑さを嗜むものという概念がある。だとしても、レシピを公開したことで見えるものがあってもなお深く嗜める概念もあるということです。この<碧Ao>にはその可能性が一番あるウイスキーだと思いました。以上。
 
 
これはいくらなら妥当ですか?の質問が殺到すると思うので、その前に答えておきますね。
700ml/2980円です❗