「お父さんにサヨナラを言いなさい」
夜中に起こされて、
父親の寝ているベッドの横に立たされ、
そう言葉を投げかけられた4歳の少年は
びっくりして何も言えず黙っていた。
横になっている父親は
そんな息子を見てニッコリ笑った後、
喀血して息を引き取った。
‥‥‥
少年はその後、
大学生くらいまでは
ひとに挨拶するのがイヤで苦手だった。
‥‥‥
そして40代半ばのある時、
地下鉄に乗っていたら ふと、
挨拶が苦手だったのは
“父にサヨナラを言わなかったこと”と
関係があるのではないかと頭に浮かんだ。
その瞬間、
涙が出てくると同時に
『今、父親が死んだ』と感じた。
‥‥‥
上記の「少年」は養老孟司さん。
ご自身の体験を話している動画を
たまたま目にした。
4歳の時に起きた
理解しがたく
自分ではどうしようもない出来事。
ずっと進行形のまま
自分の中にしまい込んでいて
40年も経ったある日突然
サヨナラを言わないと父親は死なないんだ…
偶然にもそう理解できたと。
私は自分の意志で
サヨナラを言わなかった。
弟の結婚式以降、
顔を合わせることなく
十何年も経っていた。
私の息子たちにも
一度たりとも会わせなかった。
理由はカンタン。
「お前は要らなかったんだ」
私は父から何度もそう言われてきたから。
息子たちの成長とともに
父を許すまいという氣持ちも膨らんでいった。
最期の時が近いと
義姉から連絡をもらったときも
氣持ちが変わることはなく、
そんなことでグラつくような意志なら
持つだけ無意味と思っていた。
自分の放った言葉の重みを
思い知ればいい…と思っていた
…くせに、
結局、通夜には参列した。
でも、顔は見なかった。
サヨナラをちゃんと言わなかった
…ってことになるな。
動画を観て、そんなふうに思った。
数日前、
鏡で自分の顔を見たとき、
目元が父親だ…と感じていた。
私の中に、父親がいる…と。
(そんなふうに思ったのは初めて)
そこへ、養老さんの動画。
これまでも
父との出来事について
何度も浄化してきたので、
以前のような憎しみはもうないとはいえ、
昇華しきれてない部分があるような氣がした。
理不尽なことが多過ぎて
私も理解しがたく、
その時の進行形のまま
しまい込んでいたんだよな。
表面はならしたけど
根っこがしぶとく残っていたんだ。
なぜ私があんな目に…
そうやって一人称で捉えてたから
いつまでも終わらない。
高い視点に身を置き、
当時の私を第三者の目線でみる。
「どういう目的があって」
私はそれを体験したのか。
出てきた答えは「ゆるす」。
当時絶対に許さないと思っていた
その真逆のことだった。
親の死に目に会いに行かないことが
罰当たりな行為なら
私は喜んで罰に当たり行くわ!
…だなんて思っていたほど
父親ゆずりの相当な頑固者だった。
そんな私が受けてきた理不尽の数々は
父親を「ゆるす」ために体験したものだった
…そんなこと、
以前の私なら絶対に納得がいかなかったはず。
でも今の私は、
それを受け入れてラクになっている。
私は父の中に自分のイヤなところを
父は私の中に自分のイヤなところを
お互いに投影して非難しあっていたんだ。
それなのに
自分の鏡であることなどついぞ知らず
絶対に許すまいと、
頑なに意地を張っていた。
許したら負けだ、
あの頃の私がかわいそうだ
と思い込んでいた。
今は違う。
「戦いを終わらせるための戦い」
そんなものはないのに
私はずっとそう思って戦ってたことに
氣がついた。
戦いながら戦いを終わらせるなんて
出来っこないんだ。
「ゆるす」なんて
そう簡単にできるもんじゃない。
納得のいく理由もないなら なおさら。
そこを超えて「ゆるす」。
そのための経験だったのなら、
経験した価値があるように
なぜか今なら思える。
今夜は特別な満月、皆既月食。
占星術で月の表すものは
感情、感受性、インナーチャイルドなどなど。
月食は一度影が入り、
また元に戻ることから、
内面的な生まれ変わりの意味もある。
まさにそんなタイミングだった。
(この満月、ホロスコープ上では
隠れた所や潜在意識を表す場所にあるうえ、
私の出生図の海王星(無意識)や金星(価値観)と
ぴったり重なるため、
影響が出やすかったのもある。)
そして今日は父の命日。
先日、まったく父とは縁もゆかりもない方から
父の故郷である甑島の海洋深層水をいただいた。
今夜はそれを月光浴させて満月水に。
スーパーブラッドムーンなんて
刺激がありそうなイメージがあるのに反し、
驚くほどまろやかで優しい味。
「ゆるし」の味なのかもな。
4年前は言えなかったけど…
ありがとう、さよなら。
(父にというよりは、
戦ってた私に…かもな。(^^;)
きっと臨終の際に、
私が最期まで会わなかったことを
自分に似てどこまでも頑固だと思って
笑えたんじゃないか…
なんだか、そんな氣がする。(*´∇`*)
(↑笑った顔のように見えません?)
読んでくださり、ありがとうございます☆
Kayo





