詩を声にだして読んでみた。
| ぱさぱさに乾いてゆく心を |
| ひとのせいにはするな |
| みずから水やりを怠っておいて |
| * |
気難しくなってきたのを |
| 友人のせいにはするな |
| しなやかさを失ったのはどちらなのか |
| * |
| 苛立つのを |
| 近親のせいにはするな |
| なにもかも下手だったのはわたくし |
| * |
初心消えかかるのを |
| 暮らしのせいにはするな |
| そもそもが ひよわな志にすぎなかった |
| * |
駄目なことの一切を |
| 時代のせいにはするな |
| わずかに光る尊厳の放棄 |
| * |
| 自分の感受性くらい |
| 自分で守れ |
| ばかものよ |
| * |
| * |
茨木のり子 『自分の感受性くらい』