「ゾーンに入る」というのがあります。
頭で考えなくても勝手に指が動いたり、間違いがなくなったり、共演者や観客の考えていることがわかったり、時間がゆっくり流れたり、あたりが静かになったり。
極度に集中している没入状態だと思います。
ジャズでも、体験したことがあります。でも一回か二回、数えるほどです。
即興演奏(インプロ)では、ゾーンに入る頻度が高い傾向にあります。特定の様式や決まりごとがなく、失敗が許されない状況で、何が起きるかわからない事態に瞬時に対応し続けるから、だと思います。
「ゾーンとは、すごく集中して魂と肉体が分離し、他の場所にいるような感覚になった人々がいるエリア」
昨年起きたことですが、これまで演奏中にだけ起きていたゾーンに入る現象が、ライブの3時間ほど前に起きました。すごく幸福感に包まれて、今日は必ずうまくゆくと確信します。もっと言えば、私にはもう(失敗するという)自由すらなく、何か大きなものに導かれ、抱かれている感覚です。
「兆し」という言葉が浮かび、ああ兆しを感じ、掴むことか。と悟りました。
クルマを運転して大丈夫かな、と不安でしたが運転はできました。
即興演奏は何も準備をしない、のではない。
即興演奏のことを考えはじめた時、すでに演奏は始まっている。そのように思います。
だから演奏が始まる何時間も前に、ゾーンに入ったのだと思います。
絶体絶命の時にだけ入るスイッチがあります。
ゾーンに入るスイッチを探す旅、次の演奏はもう始まっています。