　生きていると自分の思う様にならないことが多い、気に食わない、だけどどうしようもないのを忘れるために酒を飲んで酔っ払いたい、そう思うです。

　そして思うとおりに行かないことばかりで、酒に飲み救いを求めている日々が続いた挙句、アルコール依存症になって、「あなたが飲める酒はもうありません」なんて医者に宣言されることになるのです。

　そして酒のない生活を送ろうとするのですが、酒を止める前の生活と言うのが、酒が趣味とか、仕事の後酒を飲んで寝るだけの繰り返しだったりして、、酒のない生活で「何を生きがい」にすればいいのだろうか、と言うことになります。

　それでは、原点に返って、自分が子供の時に何がしたかったのか、何になりたかったのか、そこまで立ち返ってみようと思うのでした。

　子供の頃。初めて思ったのは「大工さん」でした。隣の家の改築に大工さんが入っていて、その仕事を見て自分も何か物を作る仕事がしたいな、と思ったのだと思います。次に思ったのは「博士」です。と言ってもその博士はお茶の水博士（鉄腕アトムに出てくる）や敷島博士（鉄人２８号を作った）を想定していたようです。

　まあ何かを作るということにおいては、大工さんも博士も同じでしょうか。そして結局私は、大学は工学部の電子工学科に入り、技術者として仕事をするようになりました。当時はWalkmanが出はじめた頃で、私も自分が手掛けた製品が世の中に出回って、街で人が使っているところを見れたらいいなと思っていました。

　まあ大ヒット製品を手掛けることはありませんでしたが、私が手掛けた製品も世の中に出ていきました。たまには街角で出会うこともありましたが、うれしいというより、ちゃんと動いているのか心配でしたけど。

　製品を開発して設計するのは、回路設計、動作する機械設計、プログラム設計、実装設計のすべてが相互に齟齬鳴く動くように相互関係を考えながら図面化することで、ひたすら頭脳を使う仕事でした。そして頭脳を使い過ぎたら、休ませるために酒を飲む、そんな日々だったのです。その結果アルコール依存症になってしまったのです。

　仕事はとっくの昔にリストラされてしまいました。だから昔の仕事ができるわけではないのですが、それでも何かを作りたい、そして電子技術者の経験を生かすためにおもちゃドクターを今でも続けているのです。

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子供の頃、何になりたかったか