先日、CSTVで『シリコンバレーを抜け駆けろ!(原題は長いので割愛)』という映画を観ました。
片手間で観ていたので細部はうろ覚えですが…
広告会社に勤める?主人公の男性が、刺激を求めて地位と高収入を捨て、コンピュータ業界に転職。
ところが、少々変わった経営者によって「99ドルのパソコン開発」という無理難題をクリアしなければクビ!と言い渡されます。
会社のお荷物扱いされている人材を押しつけられ、これがまたオタク系の変人ぞろい(常に消毒グッズを持ち歩く毒薬マニアには親近感ありました 笑)。物置のような部屋をあてがわれて笑いものにされる始末。
安アパートに転居し、高級車を売り払い、結局は経営者に欺かれ、時に「夢なんか見なければよかった」と悔やみながらも、夢のように美しく斬新なPCを生み出していく…いわば、コメディタッチの“大人のファンタジー”ですね。
映画の始めのほうで、主人公が恋人に転職を告げる場面があり、安定した職業的地位と高い収入を失ったと知った、美人でダイナマイトボディで超ホットな恋人(という設定なのですが、個人的には「?」な女優さんでした)は別れを切り出します。
この時のやり取りが秀逸でした。
「ぼくが金持ちだからつきあったのか?」などとありきたりなことを言い出す主人公に対し、
「わたしが貧乳でもつきあった?」
…お見事!(≧▽≦)
何も求めないのなら惹かれるはずもない。
相手の何かに心惹かれ、それを求めて近づくのが人間であるならば、それがやさしさであろうと(これも他人には理解できない類のものもありますしね)、気格であろうと、お金であろうと、オッパイであろうと、本質は同じとも言えるのではないでしょうか。
何らかの理由で人柄が変わったようになり、つらく当たる人とつきあう友達に相談されたら、別れたらどうかと言ってみる方が多いと思います。
勝手に条件・状況を変えてしまったという意味では、この映画の主人公も同じこと。わたしならば、その独りよがりっぷりが嫌で別れるでしょう。
傍目にお金やオッパイの問題と見えたとしても、そこには別の理由があるかもしれません。
この昔話の夫はどうでしょうか。
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
むかしむかし
あるところに男がおって、隣の女房は常日頃から化粧ばかりして、
いい女に見えたものだから、その女に惚れてしまった
そして、自分の嫁さまは働いてばかりで、おしゃれもしないので
みっともない女に見えてきて、とうとう嫁さまに言い渡した
「お前は不細工じゃから家には置かん、すぐ出て行け」
嫁さまは驚いたけれど、こう言われては仕方ない
出て行くつもりで湯浴みして、化粧をして着替えると
隣の女房より一段といい女っぷりだったものだから
男は急に別れるのが惜しくなってしまった
嫁さまが手をついて
「今までお世話になりました、お前さまもどうぞお達者で」
しとやかに挨拶して、さて勝手口のほうから出ようとすると、
男は戸口に立ちふさがった
「ここは俺の戸口だから出てはならん」
それでは、と嫁さまが玄関のほうへ回ると、
男はそこへも立ちふさがって
「ここは俺の玄関だから出てはならん」
そこで座敷の縁側から出ようとすると
男はそこでも
「ここは俺の縁側だから出るな」
嫁さまはあきれて
「それはわたしに出て行くなということか」
「そうだ、出て行くな」
そこで嫁さまは支度をほどいて元どおり家にいることになり
男は隣の女房のところへ通わなくなったそうな
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
気立てのよさそうな嫁さまのために、ただ顔や姿形で隣に勝(まさ)ったから引き留めたのではなく、日頃そうして地道に働いてくれていたのだなぁと実感してくれたことを祈ります。
そうでなければ、いずれ誰の容姿も衰えていくものだから、今度は隣の娘が…とかなんとか言い出しそう
でも考えてみたら、男のほうとて賞味期限はありますよね。
わたしが余計な心配しなくても、いい気になっているうちに誰にも相手にされなくなるという、天罰が待っているかもしれませんね。
そんな話もあったな…何かの映画であったような