もうひとつ、強く納得いかなかった部分は、アシュレイとスカーレットが南部社会の思い出話をするうち、それが「風と共に去った」ことを悲しみ、幼なじみとしてハグして慰め合っているところを近所のご婦人がたに見られ、不倫の噂で持ちきりになってしまった時のこと。
日頃のスカーレットの行いあってこそ、ご近所も色めき立ったわけで、レットが激怒したところまではわかります。
そして、その日のアシュレイの誕生会へ行かなければ、噂を肯定していることになるから、派手なドレスで(あそこまでセクシーでなくてもいいと思うが)乗り込め、という判断も的確。
しかし、彼はアシュレイとメラニーの家へスカーレットを押し込むなり、帰ってしまいます。
そもそも彼が何が何でも妻をウィルクス家へ行かせたのは、溺愛する娘の将来に“身持ちの悪い母親” の影を落としたくないからだったはず。
それならば、不愉快だろうが、間抜けに見えようが、自分が一緒に手を取って現れたほうがよほど噂の否定になります。
それに、日頃から「彼女には敬意を抱いている」と言っているにも関わらず、彼はメラニーの立場を完全に無視しています。
友人知人、皆を招いたパーティの最中に、こんな“訳あり女”を置いていかれるほうの身になってみてください。
レットは嫉妬で悪く解釈しているところなので、アシュレイにはそんな「復讐」もありでしょう。が、メラニーに何もかも押しつける理由はありません。
スカーレットの登場に、一瞬、和やかなホームパーティの場は凍りつきます。台無しになった時間が確かにあったのです。
いつもの強靱な“愛”を発揮して誰も傷つかないようにふるまったメラニーは立派だし、彼女にはそれが自然なのかもしれませんが、なぜ彼女が対応しなければならないのでしょう。
クリスチャンの理想型=神のようなメラニーの性格から、事態を見越していたにもせよ、レットが彼女へのフォローさえしない理由にはならないと思います。
彼女たちを戦場に捨てていった時と同じく、自分の都合と、その瞬間夢中になっていること(人)だけが大事で、おまけに面倒ごとからは常に逃げる男としか思えません。
個人的には、半泣きで引きずって行かれながら、パーティへ放り込まれたとたん腹を決めたスカーレットよりも勇気のない、修羅場には踏み込めない小心者にも見えます。
これが「いい男」なのでしょうか?
何故か父の夢をみた…明日が命日