3日2-②


昔のアニメに「君の瞳に……映ったぼくに乾杯」って

大馬鹿野郎なナルシーが出てきたな

深夜の闇の中でふと思い出した



わたしも、いつも “ 相手の瞳に映った自分 ” を見てるんだなと思ったから

ナルちゃんじゃないよ

相手が自分をどう見てるのか、怖くて仕方ないだけ




母はとんでもない人だった(機能不全の家庭では典型的な母親だけどね)。
相手の行動が「その時その場の彼女の勘定&感情にすべて合致」しないと、簡単に逆上し簡単にパニック状態になり、相手を傷つける憎々しい言葉をわめきちらす。子どもみたいに不貞腐れて全員の足を引っぱり、なだめようとすると泣き叫ぶ。

キレたらもう手がつけられない。家族にできることは「逆らわないこと」、それだけ。


実際にあの人は、気に入らなければ夜中でも叩き出した。
看護師は夜勤も多いしんどい仕事ではあり、気が立っていたのはわかるけど、ただ遅くなっただけで、隣の部屋で宿題やってたくらいのことが何故そんなに許せないんだろう。物音は立ててない。

だけど、叩き出されて閉められたドアにすがり、泣いて許しを乞うわたしの前でドアが開いて、あ、許してくれるのかと思ったら、出てきたあの人は、近所迷惑だといって通りまでわたしを引きずっていって、捨てて帰ったよ。夜の宿題はそこまでの罪らしい。


前にも書いたけど、鍵を落としたら、家に入れてもらえなくなった。真冬の寒さの中、ベランダのコンクリートの上で丸まっていても平気だったらしい。父が泣いて転職してくれたほどだったらしいけどね。


自分のことなのに「らしい」なんて言いかたしかできない。自分の感覚や見聞きする世間とあまりにも違ってて、でもあまりにも母が強烈で、強気で、だから自分がおかしいのかと思う。このくらい普通なのかと思う。普通に友達に話して、泣かれて初めて酷かったと知ったこともある。自信がない。

自信がないから勉強した。根拠を探した。人に責められないよう裏打ちすることに必死になった。自由な発想でものが書ける人がうらやましい。


「その時その場の彼女の勘定&感情にすべて合致」がどれほど困難か。大人になってからの話だけど、典型的な例。

数年帰省できなくてやっと帰った時、遠方なので食事をしそこねて帰宅した。母は残りご飯を出してくれて、わたしはご飯を食べながらいろいろと話した。久しぶりの実家、母親、話したいことくらいあるだろう。そしたら突然、母の形相が変わり、怒鳴り始めた。

会わないうちに糖尿を患い、食事の時間も決まっていて、もうじきその時間になるところ。わたしがさっさと食べればその茶碗で食べようと思ってたのに「いっつまでもくだらん話ばっかりして! そんな、あんたの話なんか、どうでもいいんだよ!」。

わたし、何しに帰ったんだろうなって。言い返しても仕方ないので黙って残りを掻っ込んだけどね、ぺしゃんこになった気持ちで。

事情を相手が知るよしもなかろうが、関係ない。茶碗を洗うのが手間だからって発想が相手を責めるほどの正当性を持つのかも、関係ない。事情を先に言うこともしない。超能力者にならなきゃならないんだ、我が家は。




箱の中に何が入っているのか

それは身を守る術がない子どもにとって

命がけのゲームだった



あったかい他人なんてまずいない

自宅が一番マシだと思い知らされてる子どもにとって

命がけの謎かけだったんだよ




彼女が気まぐれで変える箱の中身

そればかり考えていたから

わたしは空っぽ




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